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2008年04月16日(水) 00時00分

ウイルス作成事件、大学院生に懲役2年求刑 京都地裁朝日新聞

 アニメ画像や知人の顔写真を無断で使ったコンピューターウイルスを作成したとして、著作権法違反と名誉棄損の罪に問われた大阪電気通信大大学院生、中辻正人被告(24)の公判が16日、京都地裁であった。検察側は「コンピューターにおける発信者の秘匿性を利用した悪質、計画的な行為で、被害結果も重大」と述べ、懲役2年を求刑した。判決は5月16日に言い渡される。

 論告などによると、中辻被告は06年1月ごろから、インターネットの掲示板「2ちゃんねる」で注目を集めようと、隠し撮りした知人男性の顔写真や個人情報を添付したウイルスをファイル交換ソフト「Winny」(ウィニー)を介してネット上に流し、男性の名誉を傷つけたとされる。さらに同年8月ごろから、テレビアニメの画像を添付したウイルスをネット上に流し、アニメ制作会社の著作権や著作者の人格権を侵害したとされる。

 論告に先立って被告人質問があり、中辻被告は動機について、ウィニー利用者がアニメや映画を無許可でコピーした映像を流出させているため「ウイルスを感染させることで流出を阻止したかった」と説明した。知人男性の写真などをネット上に流したことについても「(ウィニーとは)別のファイル交換ソフトで違法に動画を入手していたので懲らしめてやろうと思った」と述べた。

 弁護側は「ウイルスに感染した人は違法性の強いウィニーの使用者に限られ、著作権や名誉権が侵害された範囲も限定されている。被告は起訴された事実だけでなく、ウイルスを広めたことについても認めて反省している」として寛大な判決を求めた。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200804160030.html