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2008年04月16日(水) 10時46分

タイタニック沈没、早まった理由は「弱い鋲」説朝日新聞

 【ワシントン=勝田敏彦】英豪華客船タイタニック号が96年前、北大西洋上で氷山に衝突してから短時間で沈んだのは、鉄板同士などを結ぶ鋲(びょう)の品質が悪かったためだったとの研究結果を米国立標準技術研究所(NIST)の金属学者らがまとめ、出版した。船の製作を急いだ造船会社が低品質の鉄材を注文していたというが、当の造船会社側は否定している。沈没の日付に合わせ、米紙ニューヨーク・タイムズが15日付で報じた。

 NISTのティモシー・フェッケ博士らは、タイタニックの残骸(ざんがい)に残っていた鋲の品質を調べるとともに、造船会社の記録を調査した。その結果、高品質の鋲は船体中央部だけで使われ、船首と船尾は強度で劣る鋲が使われていたことが判明。高品質の鋲が船全体で使われていれば、沈没まではもっと時間がかかり、多数の乗客が救助できたはずだとしている。

 タイタニックを製造した北アイルランドの造船会社が、同時に姉妹船2隻の製造も頼まれており、最高品質の鋲や熟練工が不足していたという。同紙の取材に造船会社は「鋲の品質に問題はなかった。姉妹船の一つは24年間無事に運航できている」と反論している。

 タイタニックは、英南部サウサンプトンで乗客約2200人を乗せてニューヨークに向かっていた。事故で約1500人が死亡したとされるが、氷山に衝突後、わずか3時間ほどで沈没した理由は完全には解明されていない。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/international/update/0416/TKY200804160058.html