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2008年04月16日(水) 09時17分

銀河中心の「眠れる大ブラックホール」 一時期激しく活動産経新聞

 銀河系の中心にあり、活動が静かなことから「眠れる巨人」とされる巨大ブラックホールが一時期、強烈なX線を放射していたことが15日、京都大学理学研究科の小山勝二教授(X線天文学)らの研究チームの観測でわかった。謎に包まれたこのブラックホールの実像を解明する貴重な発見という。

 このブラックホールは地球から2万6000光年の距離にある。太陽の400万倍の質量を持つとされながら、放射されるエネルギーは銀河の中心にある他のブラックホールに比べ、何十億分の一と極めて微弱だった。

 研究チームは平成6年から11年間、ブラックホールから約300光年離れた巨大星雲「いて座B2」をX線天文衛星「すざく」などで観測。この結果、ブラックホールから出た強力なX線を、星雲が鏡のように反射して明るく輝く「光のこだま」と呼ばれる現象を確認した。

 直接観測しているブラックホールは2万6000年前の姿で、ほとんどX線を放射していない。一方、反射したX線は300光年の距離を遠回りして地球に届くため、300年さかのぼった時点の観測で、当時は激しい活動期にあったことを示しているという。

 一般にブラックホールは強い引力で周囲のガスなどを引き込むとともにX線を放射する。小山教授は「反射したX線は直接観測より100万倍も強い。近くで、超新星爆発が起き、そのガスがブラックホールに大量に落ち込み、一時的にブラックホールが目覚めたためだろう」と話している。

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