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2008年04月15日(火) 12時00分

科学者の2割が向精神薬を使用:『Nature』の調査WIRED VISION

オンライン版『Nature』が4月9日に発表したオンライン調査結果によると、主に科学者からなるコミュニティーから得られた回答の20%が、『リタリン』(メチルフェニデート)や『Provigil』(モダフィニル)など、「脳の働きを活性化する薬」を使用していると認めている。

[メチルフェニデートは難治性・遷延性鬱病や慢性疲労症候群などに使われる中枢神経刺激薬。注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療薬ともされ、75%以上は子供に処方される。約85%が米国で消費されているが、日本では2007年ころから「リタリン依存」が社会問題化。薬事法の改正で、通常の向精神薬よりも一段と厳しい管理が要求されるようになった。医師の処方が有れば合法的に入手できるため、覚醒剤などの薬物に比べて入手しやすく、中枢神経刺激剤としての乱用が問題となる。処方に従わずに規定量を逸脱した量を服用した場合、副作用や後遺症、薬物耐性による服用量の増大、依存などを引き起こす可能性が高い。

モダフィニルは、日本での商品名は『Modiodal』。ナルコレプシーの治療に使用される薬剤の1つだが、欧米では「覚醒促進剤」としても販売。米軍などでは兵士を長期間覚醒し続けさせるための薬として研究されている(日本語版記事)]

プロプラノロールのようなベータ受容体遮断薬を試したことがあるのは、全体では14%に留まったのに対し、Provigilを使用していたという回答者では44%、そしてリタリンを使用する薬を摂取していた回答者では62%に上った。

[プロプラノロールは、アドレナリンやノルアドレナリンの作用に拮抗する、抗アドレナリン作動薬の1つ。不整脈、高血圧、心筋梗塞、緑内障、偏頭痛の治療に使用され、副作用として喘息を悪化させる。「トラウマ的記憶を和らげる効果」があるという研究についての過去記事(日本語版記事)はこちら]

1427人から回答を得た今回の調査が実施されたのは、2007年12月、Natureに掲載されたコメンタリーがきっかけだ。[コメンタリーは、ケンブリッジ大学研究者らによるもので、記憶や集中力を向上させるなどの効果を謳う各種の「脳を活性化させる薬」を、科学者コミュニティの「健康な人」が利用している現象について紹介、倫理的な問題が提起されている、と主張する内容。2008年1月には、これに対するコメントが掲載されたと同時にオンライン調査が開始された。]

こんななか、エイプリールフールには、米国立衛生研究所(NIH)が、科学者への資金援助の条件として脳のための「活性剤」の使用を規制する計画だという話が広まった。

これは、カリフォルニア大学デービス校のJonathan Eisen教授(進化生物学)が仕掛けたもので、ブログに投稿した「エイプリルフールの冗談」がまんまと成功したものだ。

そこで、ワイアード・ニュースを読んでいる科学者のみなさん(そして、科学者ではない読者のみなさん)に、3つ質問をしたい。

「知性を増強する薬」を使用したことはありますか?
その効果はありましたか?
あなたの体験を教えてください。

「知性を増強する薬」にまつわるエピソードを提供してくれるつもりがあるなら、遠慮なく、コメント投稿や電子メール(alexis_madrigal@wired.com)、インスタント・メッセージ(『AOL Instant Messenger』(AIM)、gatobarb)、あるいは電話(415-276-8481)で意見を寄せてほしい。個人情報が公開されることはない。[原文記事には、現在115件のコメントが寄せられている。]

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080415-00000002-wvn-sci