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2008年04月15日(火) 15時20分

どうする? 子供のケータイ 必要性、親子で話し合いを産経新聞

 新入学、新学期を迎え、子供から「携帯電話がほしい」といわれている保護者も多いのでは? 通話だけしかできなかった一昔前と違い、携帯は今やインターネットへの接続をはじめ、パソコン以上の機能を持つ機種もある。一方で、親の目の届かないところで使えるため、携帯のメールやネットの利用で犯罪に巻き込まれるケースも少なくない。一度持たせたら、取り上げるのはかなり難しいだけに、メリットとデメリットをよく考える必要がありそうだ。(平沢裕子)

 通信サービス会社「ネプロジャパン」などが2月、10代〜40代の男女約5000人に実施したアンケートによると、中学生以下の子供に携帯を持たせる一番の理由として挙げられたのが「防犯上の問題から」で33%を占めた。次いで「連絡をとるため」(30%)、「子供の友人たちが持っているから」(12%)となり、多くの親が子供の安全のために携帯を利用している様子がうかがえる。

 一方で、携帯を使った犯罪や問題行動は多発している。警察庁によると、いわゆる「出会い系サイト」に関係した事件として報告があったのは平成19年には1753件。児童買春・児童ポルノ法違反での摘発が最も多く、強制わいせつや婦女暴行など重要犯罪となったケースもあった。小学生の被害者は1100人にのぼり、サイトへのアクセス手段はほとんどが携帯だった。

 最近では子供が被害者になるだけでなく、加害者、犯罪者になるケースも出てきている。昨年8月、「学校裏サイト(学校の公式サイトとは別に、子供たちが学校内の情報交換を目的に立ち上げたサイト)」に「校長先生を殺す」と書き込んだ大阪府の高校1年生が脅迫容疑で逮捕されたほか、ネットオークションを使った詐欺や薬物売買で中高生が逮捕されたケースも報告されている。

 携帯のトラブルから子供を守るための手段としては、出会い系などの違法・有害サイトを見られなくする「フィルタリングサービス」がある。携帯各社は今年2月から、新規契約の未成年者の携帯に原則的にフィルタリングをかけ、保護者からの特別な申し出がない限り、こうしたサイトを見られない措置を取っている。とはいっても、ネット上の危険を完全に排除することは難しい。

 子供の携帯事情に詳しい群馬大学の下田博次特任教授は、「ネット機能がある以上、いくらフィルタリングをかけても抜け穴はいくらでもある。むしろ、『フィルタリングがあるから安心』と子供の携帯利用に無関心になることの方が怖い」と指摘する。

 内閣府の推計では携帯を使っている小中高校生は約750万人。子供の携帯利用は、「着メロ」や「ケータイ小説」など新しい文化を生んだと肯定的な意見もある。また、使っている子供たちからは「今さら携帯がない生活は考えられない」との声も上がる。

 しかし、下田特任教授は「ネットでいろいろな人と簡単につながってしまう携帯が成人向けメディアというのは世界の常識で、これほど多くの子供が利用している国は日本だけ。安全のために子供に持たせるなら、位置情報のためのGPSと通話機能のみの携帯で十分。本当に必要なのか親子で話し合い、持たせるときは親の管理の下で使わせるべきだ」と話している。

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