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2008年04月12日(土) 06時53分

贈賄容疑の顧問、業者から「情報料」 文科省汚職朝日新聞

 国立大学などの施設整備をめぐる汚職事件で、贈賄容疑で逮捕された総合建設会社「五洋建設」の子会社顧問倉重裕一容疑者(58)が、文教施設工事の受注を希望する業者に文部科学省の予算情報を教え、「情報料」として現金を受け取っていたことが警視庁の調べでわかった。

 同庁は、倉重顧問が業者の「仕切り役」だったとみて、受注に応じた報酬がなかったかなどを調べている。

 捜査2課の調べでは、倉重顧問は、旧文部省OBの元参院議員(故人)が初当選した83年から私設事務所に出入りし、秘書として活動していた。この間、五洋建設の東京支店総務部長などを務めたが、06年に同社を離れるまで会社での勤務実態はほとんどなかったという。

 関係者の話では、00年ごろには、文科省の出先機関である地方の工事事務所長や国立大学の施設担当幹部らが上京する際、倉重顧問にあいさつに行っていた。90年代半ばごろには、建設会社役員らが倉重顧問に新年のあいさつをするため元議員の事務所を訪問していた。業者数が多いため「1社3分」などと制限を設けるほどだったという。

 大学の施設部長経験者は「倉重顧問は文科省側から得た情報をもとに、業者間で調整した受注に口を挟んでいた。いったん決めた業者とは違う会社に受注させようとしたり、自分が懇意にする会社に下請けに出そうとしたりしていた」と証言する。

 倉重顧問は文科省側から施設の予算に関する情報を入手。自分の会社だけでなく、各業者に流し、「情報料」を得ていたという。

 倉重顧問は前文科省文教施設企画部長大島寛容疑者(59)に06年4月、わいろとして約50万円を渡したとされる。ほかにも現金を提供したりゴルフ代を負担したりしていたという。警視庁は、こうした利益供与に、業者からの金を充てていた疑いもあるとみて調べている。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0411/TKY200804110318.html