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2008年04月12日(土) 00時00分

「鼻(花)が低くても人が好く」御室桜の謎、解けた朝日新聞

 京の名物サクラの秘密は土の中に——。仁和寺(にんなじ)(京都市右京区)は12日、境内に約200本を数え、高さ3メートル前後にしか成長しない「御室(おむろ)桜」の調査結果を発表した。土壌が粘土質で栄養や空気が乏しいため根が伸びず、成長が抑えられていたことが分かった。今後3〜5年をかけてDNA調査なども進め、守り育てていく方法を探る。

御室桜が満開になり、花見客でにぎわう仁和寺=12日午後、京都市右京区、山村哲史撮影

 御室桜は17世紀前半に植えられたとされ、「わたしゃお多福/御室の桜/鼻(花)が低くても/人が好く」とうたわれてきた。比較的背が低いオムロアリアケという品種を中心に十数種類の桜がある。どの品種も本来の高さより低くしか成長せず、「御室桜の謎」と言われてきた。

 昨年4月から、住友林業や千葉大などが協力し、境内6カ所でボーリング調査。全地点で粘土質の土壌が確認され、窒素やリンなどの栄養素をほとんど含まず、酸性度も強かった。特に深さ2〜2.5メートルより下は粘土が締まっていて土壌中の空気が少なく、水分が多い状態で根の成長は難しいという。

 仁和寺の立部祐道(たてべゆうどう)執行長(しぎょうちょう)は「謎が解かれるのは寂しい気もするが、粘土が(根の成長を抑える)岩と同じ性質を持つと判明したのは大きな成果」と話した。

http://www.asahi.com/kansai/entertainment/news/OSK200804120114.html