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2008年04月12日(土) 15時01分

脱輪トラックの会社家宅捜索 専務「点検知らなかった」朝日新聞

 静岡県牧之原市の東名高速で走行中のトラックから外れたタイヤが観光バスを直撃、運転手が死亡した事故で、静岡県警は12日午前、トラックの植木丈喜運転手(37)が勤務していた産業廃棄物収集運搬業の京阪産業(本社・静岡市)の事務所などを、自動車運転過失致死の疑いで家宅捜索した。

京阪産業の中間処分場に家宅捜索に入る静岡県警の捜索員ら=午前9時22分、静岡県富士市五貫島

 県警の調べなどによると、トラックは脱落したタイヤを固定していたボルト8本すべてが折れ、そのうち2本の破断面は、さびて茶色に変色していた。この2本は事故のかなり前から折れていたとみられ、県警は整備不良が事故原因となった可能性があるとみて調べる。

 道路運送車両法や同法に基づく国土交通省の省令や告示は、8トン以上の大型車について、車輪のナットの緩みやボルトの折損を日常点検で確かめ、さらに3カ月ごとの定期点検で、ボルト・ナットを一定の力加減で締め付けるよう義務づけている。

 捜索に立ち会った同社の癸生川(けぶかわ)正司専務は12日、「定期点検があることを知らなかった。運行を管理する日誌もない」と明かした。これまでの取材に「トラックは過積載だった懸念がある」とも話している。同社で大型車を運転できるのは植木運転手だけといい、事故を起こしたトラックは植木運転手が日常的に乗っていたとみられる。

 県警は、トラックの点検、整備記録や植木運転手の勤務状況などに関する資料を押収するとともに、運転手や同社幹部の事情聴取を進め、同社の管理体制などを解明する方針だ。

 植木運転手は11日午前、静岡県富士市でプラスチックの廃材を積み、愛知県方面に向かっていた。県警の調べに対し、「走行中にガラガラと音がして、バックミラー越しに外れたタイヤが跳ねながら道路を横切るのが見えた」などと供述している。

 京阪産業は89年11月に収集運搬業の許可を県に申請。その後、5年ごとに更新し、期限は09年11月。05年3月現在でトラック9台を所有している。帝国データバンクなどによると、近年の燃料費高騰や受注単価の低下で収益性の悪化が続いているという。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0412/TKY200804120116.html