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2008年04月12日(土) 18時26分

裁判員制度、1つの事件を5裁判体で評議 模擬裁判で実験産経新聞

 来年5月21日から施行される裁判員制度に向けて、3人の裁判官と6人の裁判員からなる「裁判体」を5つ設け、同じ事件を審理して判決を出す模擬裁判が14日、東京地裁で開かれる。5つの裁判体が裁くのは、事実関係に争いがなく量刑判断が焦点となる事件。これまでの模擬裁判よりも量刑評議に時間をかけ、量刑についての議論を深めることを狙いとしている。また、同じ証拠でも裁判体によって量刑にどのような差が生じるのかも、検証の対象となる。
 年間約3000件が見込まれる裁判員制度の対象事件で、事実関係に争いのない事件は全体の6〜7割を占める。つまり、多くの裁判員は「有罪か無罪か」という事実認定より、「どれだけの刑を科すのか」という量刑判断に力を注ぐことになる。
 しかし、これまでの模擬裁判では否認事件を取り扱うことが多く、事実認定に大半の時間が割かれてきたため、量刑判断に費やされる時間は短かった。
 このため、今回は事実認定の部分をほぼ省略することで、量刑評議にじっくり約3時間かける予定。法廷では、情状に関する被告人質問や証人尋問が行われ、5つの裁判体の裁判員計30人が同時に審理。裁判員は20〜70代で、職業も会社員や自営業、主婦など幅広く集められた。各裁判体には男女3人ずつをまんべんなく振り分ける。
 対象は、主婦が夫のDV(配偶者間暴力)に不満を爆発させ、夫の背後から包丁で腰を刺したという殺人未遂事件。弁護側は夫のDVが事件を引き起こしたと主張し、刑の減軽を求めているというもの。
 各裁判体が下した判決は、夫のDVをどう評価し、どのように量刑を判断したかという評議の内容とともに示される予定。東京地裁では、同様の模擬裁判を重ねていき、量刑評議のあり方を探っていくという。

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