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2008年04月11日(金) 00時00分

春をブレンド 擬製豆腐読売新聞

ソラマメやニンジンの甘み

 くずした豆腐に野菜や豆類などを混ぜ、再び成形して焼く「擬製豆腐」をご存じだろうか。精進料理のひとつで、豆腐の形に似せて仕上げることからこの名前がある。春の食材を豆腐に閉じ込めた一品は優しい味わい。家庭でも作ってみたい。

 精進料理研究家のカノウユミコさんは、肉や魚、卵のほか牛乳や砂糖も使わない野菜料理が得意。野菜本来の味わいを十二分に引き出す料理として、勧めるのが擬製豆腐だ。


材料はよく混ぜてひとまとめにする。「豆腐はどんな野菜とでも相性がいい。パンに挟んでサンドイッチにしてもおいしいですよ」とカノウさん(東京・世田谷区で)

 「おもてなし料理にもなります。みそで下味を濃いめにつけておけばお弁当にも向きます」とカノウさんは言う。

 豆腐1丁を使って作ると2〜3人前分できる。

 ソラマメの擬製豆腐は、淡い緑色に仕上がる。

 〈鍋にたっぷりの湯を沸かし、木綿豆腐1丁を手でつぶしながら入れる。再び沸騰したらざるに上げ、皿などで十分な重しをして約20分、水気を取る。水気がなくなったらざるで裏ごしする。

 さやから出したソラマメ150グラムは厚手の小鍋に水4分の1カップ、塩少々とともに入れてふたをし、弱火にかける。沸騰後、3分煮る。ふたを取って水気を飛ばす。冷めたら皮をむき、粗くつぶす。

 裏ごしした豆腐とソラマメに白みそ大さじ1杯強を加える。つなぎ用に、砕いた麩(ふ)2分の1カップ、すり下ろしたナガイモ大さじ2杯、小麦粉同3杯も入れてよく混ぜ、ひとかたまりにする。


ソラマメの擬製豆腐(手前)と山ウドとニンジンの擬製豆腐。焼いた後、少しおいた方が味がなじんでおいしい=板東玲子撮影

 オーブンの天板にクッキングシートを敷き、15センチ角に成形。190度で約15分焼く。フッ素樹脂加工のフライパンで両面がこんがりとなるまでふたをして弱火で焼いてもいい〉

 切って口に運ぶと、豆腐とは思えない、しっかりとした歯ごたえ。ソラマメの甘みが広がる。

 山ウドとニンジンの擬製豆腐も春らしい味だ。

 〈木綿豆腐は前出の方法で裏ごしを。山ウドとニンジン各50グラムは皮つきのまま小さめの千切りにし、ゴマ油を熱したフライパンで加熱する。あくが飛び甘みが出るまでいためる。千切りにしたシイタケ2枚も加え、塩、しょうゆ各少々を振る。粗熱を取る。

 豆腐と野菜類、白すりゴマ大さじ1杯、砕いた麩4分の1カップ、すり下ろしたナガイモ大さじ3杯、小麦粉同3杯を加え、ひとまとめにする。こんがりと焼く〉

 辛子じょうゆやポン酢などをつけて食べてもおいしい。

 「ソラマメをグリーンピースやエダマメ、サツマイモ、カボチャなどにしてもいいし、ウドをゴボウ、セロリ、タマネギ、新ショウガなどにしてもおいしい。余った時は冷凍できます。体にいいお料理なので色々と試してみて」とカノウさんは勧めている。

http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/20080411gr04.htm