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2008年04月10日(木) 02時33分

<文科省汚職>贈賄容疑者、勝手に名刺 文教族の威光利用毎日新聞

 文部科学省の文教施設整備事業を巡る汚職事件で、贈賄容疑で逮捕された「五洋建設」子会社顧問、倉重裕一容疑者(58)が、旧文部省OBの元参院議員(04年死去)の私設秘書だけでなく、元議員が会長を務めていた「社団法人文教施設協会」(東京都中央区)の「会長秘書」の名刺を勝手に作り、受注獲得に動いていたことが分かった。文教族の実力者として知られた元議員の「威光」を最大限に利用する狙いだったとみられる。警視庁捜査2課は倉重容疑者が業界の調整役にのし上がる経緯の全容解明を進める。

 倉重容疑者は、前文科省文教施設企画部長、大島寛容疑者(59)に約50万円のわいろを手渡し、国立大などの施設整備情報を入手したとして逮捕された。

 倉重容疑者は74年に五洋に入社。関係者によると、83年に元議員が参院選に出馬した際に選挙活動を手伝い、それが縁で秘書として出向。当時は、ゼネコンなどが議員事務所に職員を派遣し、諸経費の一部を負担する見返りに工事情報を入手していたという。

 さらに倉重容疑者は84年ごろ、元議員が文教施設協会会長に就任すると、会長秘書の名刺も作成して営業活動を展開。協会には旧文教施設部(現文施企画部)OBも天下りしており、大島容疑者ら省内の職員や大学関係者に元議員の側近を強くアピールすることで受注につなげる意向があったとみられる。

 こうした活動を経て、倉重容疑者は大島容疑者らと親密になり、業界の受注調整を主導する「仕切り役」にまで上り詰めた。周囲には「おれの時代がきた」などと吹聴していたという。五洋時代の倉重容疑者を知るある業者は「自分で大学に顔を出し、工事情報を聞き出していた。すご腕の営業マンだった」と話している。【鳴海崇、酒井祥宏】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080410-00000019-mai-soci