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2008年04月10日(木) 10時00分

ダメ弁護士をつかまない!日刊ゲンダイ

「ロス疑惑」の三浦和義が米国の有名弁護士マーク・ゲラゴス氏を弁護人に雇った。訴訟大国アメリカでは億単位のギャラを取る弁護士もザラだが、三浦にとっては無罪になれば安いものということか。日本でも来年5月までに裁判員制度が始まる。億は払えないが、ダメな弁護士をつかんでしまったら、“痛い”ことになりかねない。

●三浦和義は“スゴ腕”を雇えたが…
 三浦を弁護するゲラゴス氏は、マイケル・ジャクソンの性的虐待事件も担当した全米きってのスター弁護士。弁護料もバカ高く、時給400〜700ドルだという。
「さすが実力主義の米国だと思うでしょうが、実は日本もすでに訴訟国家に突入しています。05年の司法試験の合格者数は10年前の2倍の1464人。04年から法科大学院もスタートし、2年後の10年には合格者を3000人程度に増やす予定です。弁護士が増えれば、訴訟も増える。また、弁護士の急増でレベルの低下が指摘されています。この先、裁判に強い弁護士を見分ける“目”が必要になってくるでしょう」
 こう話すのは、「良い弁護士・ダメな弁護士選別ガイド」の著書がある津田・村西法律事務所の津田和彦弁護士だ。
 04年3月に日弁連の弁護士報酬規定が廃止され、自由に料金設定できるようになった。訴訟に勝ち、依頼も殺到する弁護士は、当然ながら弁護料も高い。
 実際、弁護士の貧富の格差は広がっている。
「日弁連の06年調査によると、弁護活動のみの所得が6000万円を超えた“スーパー弁護士”は2.6%。逆に500万円未満の弁護士も15.2%いました」(法曹関係者)
 現在約2万2000人の弁護士がいるが、06年の弁護士白書によると、平均年収は1632万円だ。
 一方、全国の裁判所で訴訟まで発展した民事・行政事件の件数は、90年の22万9718件から、06年には62万1883件に激増している。
「食いっぱぐれの弁護士が訴訟を乱発するようになる可能性が高い。いつアナタが被告になってもおかしくない時代になりますよ」(法曹関係者=前出)

 失敗のない弁護士選びのコツとは何か。
「料金が安く、裁判も常勝で、しかも親身で話しやすいといった夢みたいな弁護士はおりません。企業の法律顧問であれば、『日経ビジネス』が毎年発表するランキングが参考になる。一般の人は、医師のセカンドオピニオンのように複数の弁護士に相談し、納得した弁護士に依頼する方法をお勧めします」(津田和彦弁護士=前出)
 インターネットの法律相談なら1回2000〜3000円ほどだ。

●痴漢冤罪事件
 女性に痴漢だと指摘された場合、駅員室には絶対に行ってはいけない。
 鉄道警察に引き渡され、留置場で最長20日間の勾留生活だ。女性に連絡先を伝え、とにかくその場を立ち去ること。いったん現場を離れれば、警察は逮捕状を取らなければ逮捕できない。
 痴漢冤罪事件で知られるのは、高裁で逆転無罪判決を勝ち取った長野真一郎弁護士(大阪法律事務所)や、映画「それでもボクはやってない」のモデルになった今村核弁護士(旬報法律事務所=東京)などがいる。

●でも、本当は痴漢していた
 魔が差すかもしれない。100万、200万円を請求されるケースもあるが、示談金の相場はどうか。「慰謝料算定の実務」(千葉県弁護士会編)によると、弁護士を通した痴漢の慰謝料(示談)は30万〜50万円が最も多い。盗撮は、5万〜10万円程度。もちろん、加害者には誠意ある謝罪が必要だ。

●遺産相続&離婚 慰謝料、財産分与
「この分野は、家裁などに具体的な目安となる算定基準があり、専門性は比較的必要ありません。料金の安さで弁護士を選ぶ考え方もあります」(津田和彦弁護士=前出)
 法律サイト「弁護士ドットコム」(http://www.Bengo4.Com/)にアクセスすれば、無料で弁護士が見積料金を提示してくれ、料金が見比べられる。

●債務整理&破産
 最近は、電車内などで「自己破産専門」といった弁護士の広告をよく見かける。
「優劣が出にくい分野で、料金も『一律29万4000円、分割あり』などと分かりやすい。大体、債務専門にやって慣れているから、一定の安心感はあります」(司法ジャーナリスト)

●顧問弁護士を雇う
 いざというとき、飛び込みと顔見知りの弁護士では対応も大きく違う。報酬規定の廃止で顧問弁護料は、事業者月額5万円以上、個人月額5000円以上という基準がなくなり、ディスカウント価格だ。今は1万〜2万円で顧問弁護士を雇える。

【総合ランキング】
1、中村直人(48)ニッポン放送弁護でライブドアと対決
2、野村晋右(62)法人顧問先が150社を数える
3、角田大憲(41)敵対的企業買収防衛に強み
4、久保利英明(63)時給7万円。総会屋対策で一時代
5、松井秀樹(43)証券法の専門家。元東大客員教授
(日経BP調べ)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080410-00000006-gen-ent