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2008年04月10日(木) 18時51分

映画監督らが「靖国」上映中止や政治圧力に抗議スポーツ報知

 ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」の上映問題をめぐり、ジャーナリストや映画監督らが10日、「上映中止や政治圧力に抗議する」とした記者会見を参院議員会館で開いた。

 靖国を撮影した李纓(リイン)監督は、有村治子参院議員が出演者の「靖国刀」を作り続ける刀匠から事情を聴き「出演シーンの削除を希望している」と主張していることについて、「作品が成立できないよう働き掛けているとしか理解できない」と懸念を表明。「この問題を乗り越えることが日本が文化大国に向かう道だと確信している」と述べた。

 映画の内容について、ジャーナリスト田原総一朗さんは「隠し撮りをせず、ナレーションも入っていない。偏向とか反日と決めつけるのは間違い」と評価。上映中止については「映画館の親会社が問題になっては困ると考えた。そういう日本社会を責めるべきだ」と強調した。

 「靖国」に文化庁の所管法人から助成金が出ている点を国会議員が問題視していることについて、映画監督の是枝裕和さんは「第三者機関で審査する助成金の使い道に、税金のチェックだと言って政治家が口を挟むのはおかしい」と話した。

 ◆靖国刀 1933年から45年の終戦時にかけて、靖国神社の境内に建設された「日本刀鍛練会」の鍛錬場で打ち出された日本刀。靖国神社などが編集した神社史「やすくにの祈り」によると、鍛錬場ではたたら製鉄による原材料「玉鋼(たまはがね)」の生産を復興。製作された日本刀は靖国神社の例大祭の宝剣などになる一方、将校の軍刀として頒布された。「靖国刀匠」と呼ばれた13人の刀匠を中心に、12年間で8100本の日本刀が作られた。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20080410-OHT1T00224.htm