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2008年04月08日(火) 00時28分

食品値上げで売り上げ減 買い控え招き、割安品になびく朝日新聞

 食品の値上げが相次ぐ中、価格に敏感な消費者は不要不急の商品を手控え、必需品は割安商品になびきがち。値上げをきっかけに売上高が減る食品メーカーも出ている。

大手スーパーは「円高還元セール」を相次ぎ実施。価格に敏感な消費者は、割安感のある商品には飛びつく=東京・品川のイオン

 値上げの影響は売れ行きに表れている。市場調査会社が主な商品分野別に値上げ後の売れ行き(数量ベース)を集計したところ、「果汁100%飲料」(値上げ後33週)が前年同期比約9%減、「食用油」(同45週)や「ツナ缶」(同20週)が同約5%減と、軒並み落ち込んだ。

 削り節メーカーのにんべんは、小分けパック(5グラム)入りかつお節商品の希望小売価格を昨年10月から10%上げたところ、売り上げが約1割減。今月1日に急きょ、「4.5グラム入り」を売り出した。同じ商品を2通り売り出す異例の措置は、容量を減らすことで値上げ前の価格に戻すためだ。

 業績への悪影響も出てきた。味の素は08年3月期の連結業績予想を下方修正。主力調味料「ほんだし」の値上げをきっかけとする調味料の売り上げ減が、原因の一つだ。

 一方で、割安感のある商品には人気が集中する。上位のハウス食品とエスビー食品が昨年11月、ルーを約10%値上げしたカレー業界。価格を据え置いた業界3位の江崎グリコには追い風となり、07年度下期の売上高が前年同期より約2割も増加した。

 大手が1月に一斉値上げしたカップめんは、かつては100円を割り込んでいた特売価格が今や120円前後。イトーヨーカ堂を傘下に置くセブン&アイ・ホールディングスやイオンでは、100円以下の独自企画商品(PB)のカップめんが好調だ。イトーヨーカ堂は税込み88円で販売したところ、今年2〜3月の売れ行きは昨年11〜12月に比べて約5倍。「年明け後はフル生産が続く」という。

 賃金が増えない中、消費者は価格に敏感さを増しており、「実質的な値上げは先延ばしせざるを得ない」と話す食品メーカーも出ている。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/life/update/0407/TKY200804070255.html