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2008年04月08日(火) 06時11分

映画「靖国」東北の4館で上映 7月以降河北新報

 山形を本拠地に八戸、盛岡、仙台、福島の5市で映画館「フォーラム」を展開する運営会社が7日までに、上映中止の動きが相次いだドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」を7月以降、仙台を除く4市で公開することを決めた。東北の劇場で上映を明らかにしたのは、フォーラムグループが初めて。長沢裕二代表(57)は「映画は作り手の意見発表の場。上映を妨げるどんな規制もあってはならない」と話している。

 配給元と調整の上、細かな公開時期を詰める。仙台では「靖国」の配給協力会社の作品を多く扱う別の映画館が上映を検討中のため、その動向を見て対応するとみられる。
 作品について長沢代表は「靖国神社の知られざる日常を淡々と記録しており新鮮。特に政治的な偏りがあるとは思わない」と説明。一部政治団体の街宣活動など予想される混乱に関しては「これまでどんな映画も扱ってきたし、上映に伴うトラブルが起きたこともない」と言っている。

 映画は日本に住む中国人、李纓(リ・イン)さんが監督。東京・九段北の靖国神社で「靖国刀」と呼ばれる日本刀を作ってきた老人との対話を軸に、境内で起きる左右両派のさまざまな動きをとらえた。3月の香港国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した。
 今月12日からまず東京と大阪で公開の予定だったが、自民党衆院議員らの要求による異例の「全国会議員向け」試写会があった3月12日以降、上映中止の動きが加速。日本新聞協会や日弁連などが事態を憂慮する談話や声明を発表した。

 映画評論家の佐藤忠男さん(77)は「境内の場面にはいろいろな立場の人が出ており、極力客観的に撮っている。(靖国問題を考える際に)冷静になろうというメッセージが明確」と指摘。フォーラムの上映決定を「大変いいことだ」と評価している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080408-00000005-khk-soci