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2008年04月08日(火) 14時36分

田中元弁護士が印税権利を元秘書に譲渡、差し押さえ回避か読売新聞

 刑事事件の依頼者から9000万円をだまし取ったとして詐欺容疑で逮捕された元特捜検事の元弁護士・田中森一(もりかず)容疑者(64)が、ベストセラーになった自伝の印税の一部を債権者に差し押さえられた翌日に、残りの印税を受け取る権利を、共犯として逮捕された元秘書・内藤歩(あゆみ)容疑者(43)に譲渡していたことが、大阪地検特捜部の調べでわかった。
 依頼者は田中容疑者に民事訴訟を起こして勝訴したが、賠償金は支払われず、債権が譲渡されたため強制執行もできなかったという。

 昨年6月に出版された自伝「反転 闇社会の守護神と呼ばれて」は、田中容疑者が苦学して検事になるまでや、弁護士としてかかわった事件の舞台裏をつづり、現在27万部のベストセラーになっている。印税は約2500万円。

 訴訟記録などによると、田中容疑者がオーナーの地理情報会社「テラ・マトリックス」(東京)に1000万円を出資した奈良県内の男性が昨年7月17日、印税のうち1100万円を差し押さえた。ところが翌18日付で、残りの印税を受け取る権利が、当時テラ社の関連会社社長で、田中容疑者の秘書だった内藤容疑者に譲渡され、さらに本が売れて印税が増えても内藤容疑者が受け取ることになったという。

 一方、詐欺事件の被害者とされる貸金業の男性(45)は2004年、9000万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴し、全額の賠償を命じる勝訴判決が確定した。しかし、田中容疑者が支払いに応じないため、男性側は昨年になって「反転」の印税を差し押さえようとしたが、権利が譲渡されたため、賠償金は未回収のままという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080408-00000030-yom-soci