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2008年04月08日(火) 03時00分

生保の苦情、過去最高に 不払い問題に不信感朝日新聞

 生命保険の契約内容や支払いの苦情・相談が増え続けている。国民生活センターが集計した07年度の件数は1万6千件超の見通し。過去最高の06年度より3千件程度多くなりそうだ。生命保険各社は、昨年相次ぎ発覚した保険金不払い問題を受けて、商品のわかりやすさや対応の改善に取り組むが、不信感は根強い。

  

 最近では03年度から増え続けており、04年度の7523件と比べると2倍になった。業界団体の生命保険協会に寄せられた苦情も07年度は約1万件になる見込み。協会が設ける相談所の受付件数に占める苦情の割合も、04年度の3割弱が07年度には5割近くになった。

 センターへの苦情・相談のうち、60歳代と70歳以上だけで全体の半数近くになる。

 センターや協会によると、最も多いのは保険金不払いに関するものだ。死亡保障の主契約につける医療保障などの「特約」で目立つという。「持病は問題ないと言われたから加入したのに、後になって、(保険加入時に病歴などを申告する)告知義務に違反するとして契約を解除された」「最近手術して医療保障の特約の支払いを請求したら、『医療技術の進歩に伴う新しい治療法は対象外』と断られた」などだ。

 こうした医療保障にからむものだけでなく、生存時の保障を内容とする生命保険でもトラブルは少なくない。「元本保証の商品を望んだのに、元本割れの可能性がある変額個人年金を勧められた」といったケースだ。「定年後に長期契約の個人年金の加入を勧められ、受け取り開始年齢を100歳以上にされた」といった事例もある。

 増加の理由について、センターは(1)大量の団塊世代が保険料支払いを終え、本人や家族が「受け取り側」に回り出した(2)保険金不払い問題で保険会社への不信感が増している(3)投資性が強く複雑な内容の保険商品が増えている——などを挙げる。

 政府は保険金不払い問題を受けて、告知義務を「保険会社の質問に答える義務」として保険会社側の責任を重くするなどの保険法改正案を今国会に提出。国民生活センターも昨年9月、生保協会に対し、高齢者への販売勧誘ルールや販売員の教育の徹底などを求めている。協会も9月から、各社の担当窓口に寄せられた苦情も集め、会社別の苦情件数や内訳をホームページに開示する方針だ。

 全国消費生活相談員協会・常任理事の丹野美絵子さんは「保険商品は特約の種類が多くなり、複雑になりすぎた。販売員でさえ十分に理解していない人も多いのではないか。保険商品の内容を簡素化したり、販売員の質を上げたりするなどの改革を進めない限り、苦情は増え続けるだろう」としている。(上田学)

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