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2008年04月08日(火) 21時56分

残業代など不払い、「すき家」のゼンショーを刑事告訴朝日新聞

 牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショー(東京)が、残業代などを適切に支払わなかったとして、すき家仙台泉店(仙台市)のアルバイト3人が8日、同社を仙台労働基準監督署に刑事告訴した。1人は店長だったため、他店への応援では無賃金の勤務を指示されたという。

記者会見する原告のアルバイト従業員ら=仙台市青葉区の宮城県庁

 告訴したのは、仙台市内に住む男性1人と女性2人で、労働組合「すき家ユニオン」(組合員17人)のメンバー。告訴状などによると、3人は時給制のアルバイトとして雇われたが、同社が規定している時間以上の時給を支払わなかったのは時間外賃金の支払いを定めている労働基準法に違反しているとしている。確認できた06年9月勤務分までの分で3人で計17万円にのぼるという。さらに、女性の1人は、店長を務めていた06年2〜5月、賃金173時間分計約14万円が支払われなかったとしている。

 元店長の女性は05年春、本社が希望者を募って行う昇格試験に合格して、2万円の手当を毎月もらえる店長になった。アルバイトから契約社員になったが、時給950円での勤務だったという。同社が規定している時間以上の時給に加え、本社の指示で他店に応援に出た時などの賃金が支払われなかったという。

 3人は昨年4月、団体交渉を同社が拒否しているとして、東京都労働委員会に不当労働行為の救済申し立てをした。これに対し、同社は昨年11月、都労委に書面を提出。本社がアルバイトに対し業務指示をすることはなく、実質は個人を事業主として業務を委託する委託契約であり、割増賃金の支払い義務はないとした。また、店長については労基法41条の管理監督者で、時間外手当は発生しないと主張したという。

 同月、3人は仙台労働基準監督署に是正申告を行った。原告側によると、時間外賃金の支払いについて同署が2月、同社に対し是正勧告をしたが、同社は受け取りを拒否したという。

 3人は告訴後、仙台市で記者会見し、「36時間連続で働いたこともある。他の店長も24時間連続勤務は当たり前だった」と窮状を訴えた。

 日本マクドナルド社の店長が提起した「名ばかり管理職」問題は、実体は普通の社員なのに管理職として扱われたケース。契約社員が店長の今回の事例について、記者会見した笹山尚人弁護士は「正規の賃金すら支払われずマクドナルドよりも悪質。ただ、業務委託という主張は大変珍しく、どうして突然出てきたのか理解できない」と話す。

 すき家は全国に995店舗ある。刑事告訴されたことについて、ゼンショー広報室は「(民事で)係争中なのでコメントは差し控える」としている。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0408/TKY200804080324.html