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2008年04月07日(月) 02時32分

<社保事務所>所長ら給与改ざん 福島・いわき毎日新聞

 福島県いわき市の平社会保険事務所の所長や課長計4人(当時)が78〜82年、年金を受給していた同事務所の非常勤職員3人の給与水準(標準報酬月額)を改ざんし、厚生年金計107万円を不正受給させていたことが分かった。受給者の収入が多いほど年金の受給額が減るため、標準報酬を低く装っていた。社会保険庁は、社保事務所主導の不正処理の存在を否定していたが、組織的な不正が明らかになった。

 福島社会保険事務局などによると、改ざんをしていたのは、所長2人と総務課長、業務1課長の4人。4人は78年7月〜82年2月、事務処理の補助をしていた非常勤の社会保険相談員3人の標準報酬月額を12〜17カ月間にわたり、9万2000円から8万円に下げる手続きをした。当時の制度では9万2000円だと年金の受給額が5割減だが、8万円だと2割減だった。3人は減額前の給与を受け取っており、厚生年金5万〜75万円が不正に多く支払われていた。

 当時の担当職員が気づき発覚。所長の1人は内部調査に「相談員の1人が社保事務所OBで、強い要求があった」と説明した。所長の指示で、総務課長が標準報酬月額を下げる書類を作成、厚生年金を担当する業務1課長も関与した。社保庁は相談員3人に不正受領分を返金させ、82年4月、所長2人は減給、総務課長は戒告、業務1課長は訓告とした。

 社保庁は当時、刑事告発も公表もしなかった。昨年9月にまとめた職員による着服・不正受給のリストにも載せていなかった。福島社保事務局は「所長が指示しており、組織的な不正と言われても仕方ない。横領にあたり、本庁には当時すべて報告している。本庁が昨秋、公表しなかったのは本庁の判断」と話している。社保庁職員課は「標準報酬月額の不適正処理の事案ととらえ、横領や不正受給とみていなかった」と釈明している。【野倉恵】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080407-00000009-mai-soci