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2008年04月07日(月) 19時02分

クリントン氏、また「作り話」 「亡くなった妊婦さん」の悲話撤回産経新聞

 【ワシントン=山本秀也】米民主党の大統領候補指名をめざすヒラリー・クリントン上院議員の陣営で6日、またも失態が相次いだ。南米コロンビアとの「裏取引」が露見した選挙参謀が更迭に追い込まれたばかりか、医療保険制度の不備を訴えるためクリントン氏が好んで使った「亡くなった妊婦さん」の悲話が作り話だった疑惑が浮上。「ボスニア空港狙撃話」に続き、またも話を撤回する事態となった。
 民主党全国委員会のディーン委員長は同日、6月末までに党内候補の一本化を図るよう態度を保留中の特別代議員らに呼びかけた。陣営内の失態が相次ぐ中での決断要請は、クリントン氏に対する“逆風”を強めるものとなりそうだ。
 クリントン選対は6日の声明で、選挙参謀のマーク・ペン氏が「この数日間の情勢を受けて選対の役職を辞任した」と発表した。ロビイストを本業とするペン氏は、コロンビアとの自由貿易協定(FTA)に反対するクリントン氏の選挙戦略を立案する一方で、同じ内容のFTAの締結に向けた工作を求めるコロンビアの駐米大使とひそかに接触。これを前週末、米メディアにすっぱ抜かれていた。
 一方、CNNテレビによると、クリントン氏が遊説先で繰り返していたオハイオ州内で貧困のため医療保険に加入していなかった女性が妊娠時のトラブルで病院を訪れたが診療を拒まれ、死亡した−−との話について、名指しされた病院は、「診療記録をすべて調べたが、診療を拒んだ事実はない」との声明を発表した。クリントン陣営では「話を疑う理由はないが、詳細が確認できない」として、以後この話を持ち出さないと説明した。
 クリントン陣営では、予備選不調の責任や失言による選対幹部の辞任だけでなく、クリントン氏や夫の前大統領による失言や虚言、不快な印象を与える態度が問題視され、さらに選挙資金の調達も進まないといった問題が絡み合い、ライバルのオバマ上院議員に獲得代議員数で水を開けられた状態が続いている。通商政策に絡む国内産業の雇用保障、国民皆保険制度の導入はいずれもクリントン氏の目玉公約となっていた。
 こうした中、民主党のディーン委員長は、ABCテレビの討論番組などで、共和党がマケイン上院議員で大統領候補の早期一本化に成功した理由は、民主党内の争いの長期化にあると指摘。態度を留保している連邦議員ら特別代議員300人あまりに早急な態度表明を求めた。

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