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2008年04月05日(土) 10時00分

【トレンド】値下げしたガソリンスタンドはどこ? あの激戦区は? 高速SAは? 【100km6時間 給油ルポ】nikkei TRENDYnet

 4月1日午前零時をもって、揮発油(ガソリン)税の暫定税率が失効した。これにより、全国のガソリンスタンドで、値下げ競争が始まった。そこで、都内の激戦区といわれる環状8号線沿いの八幡山周辺と、埼玉の激戦区、川越周辺のガソリンの価格を調べてみた。

【詳細画像または表】

 筆者は、首都高速3号線、東京料金所から環状八号線を北上することにした。すると、環八船橋先のシェルのセルフスタンドで、レギュラー126円、ハイオク137円という看板が見えた。やはり、値下げは始まっていたのだ。下の看板にはレギュラー145円の文字が残っていたので、19円安くなっていることになる。その先のエネオスでは、一見したところ看板が見えない。値段はそのまま変化なしということだろう。

 さらに北上し、14分後。反対車線にある環八神明通り先の太陽エネオスでは、レギュラー126円、ハイオク137円の表示がでている。1分後、走行車線側の南荻窪1丁目南先のJOMOセルフスタンド、ここではレギュラー145円、ハイオク156円と価格は据え置きだ。激戦区といえども、1日の段階での値下げは、まだ足踏みがそろっていない感じだ。

 井荻トンネルを出た先、谷原交差点手前の出光宇佐美ステーションでは、レギュラー130円、ハイオク141円となっていた。交差店を左折した先、シェルのセルフスタンドでも、レギュラー130円、ハイオク141円と、同じ価格になっている。

 次に、関越道に入り、川越ICから国道16号線を川越方面へと北上していく。

 最初に見つけた、脇田新町手前のすぐ反対車線のセルフのシェルでは、レギュラー127円、ハイオク137円の表示が。やはり激戦区だけあり、価格は安くなっているようだ。

 ここからはさらに3軒、反対車線のガソリンスタンドが続く。レギュラーは130円、127円、128円といった価格、ハイオク価格はレギュラープラス10円といったところだ。

 4軒反対車線のガソリンスタンドが続いたところで、ようやくこちら側の車線にも見えてきた。キグナスのセルフスタンドは、レギュラー129円、ハイオクが137円となっている。

 川越の16号沿いは、やはり価格激戦区、ガソリンスタンドがお互いの価格を見比べながら、しのぎを削っているといえそうだ。

 ところが2分後、古谷上交差点にあるJOMOでの表示を見てみると、レギュラー149円、ハイオク159円になっていた。ここ以前で、激戦区は終わってしまったのか?

 店員がヒマそうに後ろ手を組んで、客待ちをしている姿が印象的だった。

川越激戦区をさらに進む

 次は、国道16号をUターンして、新宿(あらじゅく)3丁目から6号線へと入る。この路線も、分単位の移動で、両車線にガソリンスタンドを確認することができる。

 まず、反対車線側に見えたのが、24時間営業のコスモのセルフスタンド。レギュラー127円、ハイオク137円となっている。1分も経たないうちに、同じく反対車線にエッソの看板が見える。ここではレギュラーが128円、ハイオクが138円。

 3分後、左側にJOMOが見える。レギュラーが130円、ハイオクが140円だ。価格はほぼ国道16号線と変わらない。

 さらに1分後、反対車線に価格表示の見えないエネオス、2分後に閉店してしまった出光を確認。これだけ店舗がひしめいていると、価格競争は熾烈なものに違いない。

 6号線をUターンし、254号線へ向かう。8号経由で、254号線を右折。

 するとすぐ左車線側に見えたのがエネオス。レギュラー128円、ハイオク138円の表示があった。2分後にはレギュラー140円、ハイオク150円の看板を掲げた、エッソが見えてきた。さらに3分後、反対車線に出光。レギュラー148円、ハイオク159円となっている。プリカ価格で2円引きをうたっているが、それもあまり効果はなさそうだ。

 さらに1分後、左車線側にエッソのセルフスタンドが見え、レギュラー126円、ハイオク137円と、電光掲示板の表示を点灯させ、アピール。この地域では最安値だといえるかもしれない。さらに1分後、シェルが見える。ここはレギュラーが129円、ハイオクが140円だ。5分後、出光のセルフスタンドではレギュラー128円の文字、ハイオクは139円だ。ここも、プリカを使えば、さらに2円引きとなる。その7分前に通過した同じ出光のスタンドはここよりもレギュラー価格で、20円高かった。同じ出光でのこの価格差は、直営店、個人商店といった違いによるものかもしれない。

値下げスタンドで話を聞いた

 1分後、反対車線のスタンドを見つけたが、閉店してしまったかのように見える。1円、2円の戦いに、疲れ果てたといった風情で虚しい。

 さらに3分後、左側にセルフのエネオスが見えた。ここには次々とクルマが入っていく。見ると、看板にはレギュラー128円、ハイオクは137円となっている。会員価格は2円引きになるようだ。

 そこで、店の人に話を聞いてみた。

——今日から値下げしたのは何故ですか?

「やはり、この辺はガソリンスタンドが多いですからね。まだ在庫があるんですが、やはり今日から値下げしました。それまでは、結構みなさん10Lとかずつ細かく入れていたみたいですが、今日は満タンにしていく方が多いです。ウチですか? 実際、キツイですよ」と、表情は浮かない。

 そこからUターンして、254号線を戻る。ふじみ野市中央歩道橋そばのエッソに入ってみた。実は先ほど通り過ぎた際に、あまりにもガラガラで閉店してしまったと勘違いしてしまったようだ。価格はレギュラー149円、ハイオク159円と以前のままの価格を維持している。当然というか、客のクルマは一台もない。筆者がクルマで乗り入れると、「待ってました」とばかりに4名の店員が威勢よく「いらっしゃいませ〜!」と駆け寄ってきて、所定の場所へと誘導、すぐに室内用タオルが渡された。

——価格が変わってないんですね。この254号線沿いでも、価格が下がっているスタンドがいくつもありましたけど。

「ええ。まあ、ちょこちょこそういうとこも出てますね。うちはまだ在庫があるもので」

——今日のお客さんの入りは?

「少ないですね〜」

——価格が下がる見込みはいつ頃?

「うーん、明日1日待っていただければ、なんとかなると思うんですけど」「またどうぞお願いします!」

 再び威勢のいい声が響いた。こんなに元気良く見送られると、ありがたがられているようで、気分も悪くない。支払ったのは600円程度だったが、この程度の金額でこのような待遇は結構いいかもと思ってしまう。

川越市街地は価格据え置き店が多い

 次は、国道16号との交差点を直進し、川越市街地に入っていく。しかし、様相は一変した。

 レギュラー148円、ハイオク159円と価格が据え置きのままのエネオスには、客の姿も店員の姿も見えない。さらに、喜多院前を通る、国道15号沿いに入ってみた。シェル、エネオスと2つのガソリンスタンドが続いたが、レギュラーは148円、149円といった価格で、ここでもまた、人の姿が見えない。営業中ではあるが、実質的には休業中といった感じだ。

 3分後。国道16号と交わる、小仙波の交差点に出る。前方のシェルの表示は、一気に下がり、レギュラー130円となっている。右折し、川越警察署前の出光宇佐美の表示を見ると、レギュラー128円だ。つまり、国道16号の内側と外側では、価格に約20円の差があるということだ。

 川越での調査が終わり、関越道川越ICから都内へと向かう。途中、三芳PAのシェルの価格を確認すると、レギュラー153円、ハイオク164円となっていた。ただ、大きな看板での価格表示はなく、事務所のガラス窓に、手書きの文字で書いてあるだけだ。3人の従業員が手持ち無沙汰な様子で客待ちをしていたので、4時30分〜5時00分までの間に、どれだけの客が出入りするのか観察してみた。

 すると、4時36分に1台、37分に1台、乗用車が入った。続いて、41分にバイクが1台、44分に乗用車1台、47分に乗用車2台入る。49分にはトラック1台、バン1台、乗用車1台がほぼ時間差なく入った。ただ、乗用車は、値段の表示がないので、ゆっくり躊躇しながら入っていくという感じだ。55分に1台、57分にトラック1台、58分にも、躊躇しながらミニバンが1台入っていった。5時00分、乗用車1台とバン1台が入り、合計ガソリンを入れた客は14人になった。その間、値段を確認しにきた男性がひとり。

 想像していたよりも、客が入っているようだ。そこで、店側に話を聞いてみた。

——お客さんの入りはどうですか?

「PAはどこも価格はほぼ変わりませんから、普段とあまり変わらないですね。SAの場合、みなさん必要に迫られている方がほとんどなので」

とのこと。

 SAのガソリンスタンドの価格は、地域間で極端な差が出ないように設定されている。

NEXCO東日本のドラぷらによると、

『高速道路は閉鎖的空間であることから、NEXCO東日本/中日本/西日本高速道路の3会社ではお客さまに不利益となることがないよう、給油所の石油製品販売価格の上限価格 (ガソリンなどの販売額の上限)を毎月定めています。 上限価格には、(財)石油情報センターが毎週公表している「給油所石油製品市況週動向調査」の全国平均価格を採用しています。』

と記されている。川越市内の一般道で、価格を据え置きにしたガソリンスタンドでは、周囲の競合店との競争により、お客が入らないといった事態が見受けられたが、PAのガソリンスタンドでは、競争相手がなく、かつ、必要に迫られた客がほとんどなので、今回の暫定税率廃止の影響はあまりなさそうだ。

約40軒の価格調査が終了

 復路も環状八号線を使った。谷原交差点を右折し、3分後、反対車線、観蔵院入口先にJOMOのセルフスタンドが見える。レギュラーは130円だ。ここから5軒ガソリンスタンドを確認したが、2軒は閉店、1軒は130、141円。1軒は価格の看板を出さず営業、1軒はレギュラー126円、ハイオク137円の文字が掲げられたりと、店舗によってまちまちの状況だ。

 京王線を越えると、左側にゼネラルのセルフスタンドが見えた。ここは、満車のようで、4台のクルマが道路に列を作って並んでいた。看板にはレギュラー125円、ハイオク136円、この地域で再安値だ。この先すぐのJOMOでは、看板を掲げていないところを見ると、価格は据え置きだろう。客のクルマは1台のみ。すぐ手前のゼネラル狙いだったのかもしれないが、連なった列を見て、通過したのかもしれない。さらに1分後、モービルのセルフスタンドでは、レギュラーが126円、ハイオクが137円と、八幡山最安値に迫る価格に落ち着いていた。

 100km以上の距離を約6時間かけ、40軒ほどのガソリンスタンドの価格を調査した。まだ、初日ということで、値下げの足並みはそろわないといった印象だが、激戦区では価格競争がさらに激化しているようだ。つまるところ、石油元売会社の体力勝負になっていくのかもしれない。

(文/スーザン史子)

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