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2008年04月04日(金) 00時00分

利用者の助け合いで英語力向上読売新聞

コミュニティ内で切磋琢磨

「日本人を納得させるサイトを作りたい」
——昨年10月に同名の学習サイトを開始しました。なぜSNS型にしたのですか。

長谷川 学習システムを開発した当初、携帯情報端末(PDA)のコンテンツとして提供していましたが、PDA自体があまりはやりませんでした。そこで、法人向けにシステムを販売するビジネスに転換しました。

 ビジネスパートナーと話を進めていく中で、どんなにすばらしいeラーニングを用意しても、利用者が自主的に勉強するようにならないと効率が上がらないことに気付きました。SNSを取り入れてコミュニティを形成すれば、利用者同士が切磋琢磨して、積極的に学習してもらえると考えたのです。

——そのねらいはうまくいっていますか。

長谷川 はい。コミュニケーションの内容をすべてチェックしているわけではありませんが、日記やコメントに書かれているのはほとんどが英語学習に関する内容です。

 英語学習にからめて会話をしたり冗談を言ったりという楽しみ方がほとんど。ある程度のまじめさは維持されています。

 利用者同士だけでなく、各チャンネルを監修する「チャンネルオーナー」も日記を書いていて、利用者からの問題に関するコメントや質問を受けることもでき、コミュニティの中で学習をサポートする仕組みができています。

——ユーザーが参加できる特徴的な機能はありますか。

長谷川 近く、利用者が問題集を作れる機能を追加する予定です。iKnow!のデータベースに登録されている約1万3000語の英単語の中から利用者が任意の言葉を選び、「アメフト観戦に必要な単語集」など目的に沿ったコースを作れるのです。その問題集をコミュニティの友人らに配布できるようにして、お互いの問題集を勉強し合うことができます。

 さらに一歩進めて、データベースに新しい単語を追加登録する機能も考えています。利用者が問題を作って教材を発展させる仕組みを備え、単なる英語学習の教材ではなく「学習の場」を提供する企業に変質していきたいと考えています。

 既製の教材では、それぞれのニーズを持つ利用者を本当に満足させることはできません。利用者が教材を作れようにして、志向に合ったものを揃えられる環境が必要なのです。

——利用者は無料でサイトを使えます。どういったビジネスモデルなのでしょうか。

長谷川 現在は利用者を増やしながらサイトの改良を続けている段階で、今年の半ばごろから広告ビジネスを始める予定です。そのためにも、現在13万人いる会員を年末までに50万人規模にするのが目標です。

 広告ビジネスを行うにしても、利用者から「うっとうしい」と思われないような見せ方を工夫しなくてはなりません。あくまで英語学習が核ですので、それを前提にビジネスを展開するつもりです。

 コミュニケーション内容を見てもわかるとおり、まじめに英語を学ぼうという意欲を持った会員が多く、一定以上の収入や意識を持った人たちが多いはず。広告主から見ても、魅力ある利用者が集まっていると思います。

——iKnow!は英語学習以外にも応用できるのですか。

長谷川 可能です。日本人向けのサイトを作ったのは、当社の創業者が日本にいて、英語学習の大きな市場があったからです。

 今後、英語を使って日本語を学べるSNSも用意したいですね。何をしたいかというと、日本人が英語を学ぶSNSと、外国人が日本語を学ぶSNSを同居させ、自然な異文化交流を促すのです。コミュニケーションの幅が広がり、会員同士がマイクを使って会話をするようになれば、今までカバーできなかった「利用者自身が発音する」という部分も補完できます。

 言語学習以外でも、問題に対して一つの答えが結び付いた出題形式であれば、どんなジャンルにも応用できます。

——今後の見通しは?

長谷川 現在は検索サイトが全盛ですが、iKnow!は検索で集めたありとあらゆる情報を教材にして、知識として定着させるサイトにしたいと考えています。

 日本人は商品やサービスに対する意識が非常に高く、満足させるのは難しい。ですから、日本人を納得させるサイトを作り上げれば、世界中どこでも通用するはずです。(メディア戦略局 石井重聡) (敬称略)

http://www.yomiuri.co.jp/net/interview/20080404nt0e-1.htm