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2008年04月04日(金) 08時26分

ガソリン出荷、価格混乱 3方式分裂で拍車フジサンケイ ビジネスアイ

 ガソリン税の暫定税率の失効で、石油元売り各社の出荷価格が3方式に分かれたことが、混乱に拍車をかけている。系列ガソリンスタンド(GS)によって1日の失効後の店頭価格に大きくばらつきが出る結果となり、消費者が戸惑うと同時に販売量でも明暗を分けた。方式の違いは、4月末以降に予想される暫定税率復活に伴う値上げでも混乱をもたらす懸念があり、消費者や販売店が政治の機能不全のツケを負わされる。

 対応が分かれたのは、遠隔地などに出荷するため、一時的に備蓄しておく油槽所からの出荷分だ。ガソリンは製油所から出荷された段階で課税される「蔵出し税」。このため、3月中に出荷された油槽所の備蓄には1リットル当たり約25円の暫定税率が課せられている。

 最大手の新日本石油は“原則論”に基づき1日以降、製油所からの直接出荷分は25円値下げしたが、備蓄分は値下げせず据え置いた。この結果、地域によって差が出ることになった。

 これに対し、昭和シェル石油は製油所、油槽所とも25円下げた。この場合、備蓄の暫定税率分は元売りがかぶる。

 一方、22〜23円下げた出光興産など3社は、備蓄の暫定税率分を均等に割ることで、地域による差をなくした。

 この結果、昭和シェル系列では、課税された高い3月出荷分の店頭在庫が残っているにもかかわらず、赤字覚悟の“出血値下げ”が相次いだ。3月在庫がなくなれば、地域に関係なく、25円安いガソリンを仕入れることができるためだ。

 一方、新日石系列は値下げが遅れている。製油所からの直接出荷の東京都や神奈川県では、在庫がなくなれば、25円安くなる。しかし、油槽所出荷の群馬県や山梨県など内陸部では店頭在庫がなくなっても25円高い仕入れが続くため、赤字覚悟の値下げに踏み切れないでいる。

 4月末以降に衆院での再可決で暫定税率が復活すれば、今度は逆の事態になる。

 昭和シェルは「復活すればすぐに出荷を25円値上げする」(広報部)としており、暫定税率がかかっていない安い油槽所の備蓄分も値上げすることで、値下げの際の赤字を回収する考えだ。均等割りの出光など3社も復活と同時に値上げするとみられる。

 これに対し、新日石は備蓄分については25円安い出荷を継続する見込み。そうなれば、油槽所経由で仕入れる新日石系の販売店が、今度は一転して価格競争力で優位に立つ。

 新日石では、暫定税率復活後も安値を続けることで、出遅れをカバーする戦略だ。ただ、現在の高値では、店頭や油槽所の3月在庫がなかなか減らず、いずれ出血値下げを余儀なくされる懸念もあり、思惑通りにいくかは不透明だ。(今井裕治)

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