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2008年04月04日(金) 08時03分

GS苦悩 ガソリン安い? 系列で価格に差産経新聞

 石油元売り各社のガソリン暫定税率失効後の卸価格戦略の違いによって、系列ガソリンスタンド(GS)の販売に明暗が出ている。1日から暫定税率分25円を引き下げて出荷している昭和シェル石油系列のGSが値下げ競争で優位に立つ一方、新日本石油系列のGSは当面、高値のガソリンを仕入れざるを得ない地域もある。販売価格が大きく違えば消費者に戸惑いを与えるうえ、収益悪化が続くGSの経営にも大きな影響を与えかねず、販売現場での混乱はしばらく続きそうだ。

 暫定税率の期限切れを受けて、石油元売り大手の卸価格戦略は3つに分かれた。昭シェルは、すべての卸価格を1日から1リットル=25円引き下げた。これに対し、新日石は製油所出荷分を1日から25円値下げする一方、一時的にガソリンを備蓄しておく油槽所から出荷する分については3月文在庫があるうちは高い税率のままとした。出光興産とコスモ石油、ジャパンエナジーの3社は、3月分の油槽所在庫の暫定税率分を平均して上乗せする方式で、1日からの卸価格を22〜23円引き下げている。

 卸価格の戦略の違いは、足元の価格競争力にも影響を与えている。昭シェル系列店では1日から値下げに踏み切る動きが相次いでいる。全国のGSには、暫定税率分が上乗せされたガソリンの在庫が1週間程度あるが、赤字覚悟で販売して在庫をなくせば、25円安いガソリンを早く仕入れられるとの判断があるためだ。

 これに対して、新日石系列は値下げ競争で出遅れた。製油所から直接仕入れる店舗では値下げできるが、油槽所から供給を受ける群馬県や山梨県など内陸部の店舗は、油槽所に3月分の在庫があるうちは高いガソリンを仕入れざるを得ない状況が続くため、思い切った値下げが難しい。

 ただ、他系列のGSに比べて販売価格が高いままでは、高値在庫の処分が思うように進まない。高値のまま販売を続け、他店に顧客を奪われる恐れもあるだけに、GS経営者は当面、販売価格に頭を痛めることになりそうだ。

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