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2008年04月04日(金) 16時15分

テレ朝「オーラの泉」が苦境 フジ「江原番組」は有識者から集中砲火J-CASTニュース

 フジテレビが公式サイトで、スピリチュアル番組に問題があるとした有識者の意見を十分に活かすと約束していることが分かった。これは、カウンセリングを受けた女性が抗議した問題を受けての言明だ。今後は、テレビ朝日の同じスピリチュアル番組「オーラの泉」の行方に、注目が集まりそうだ。すでに、番組打ち切りか、といった憶測が飛んでいる。

■「非科学的、荒唐無稽な霊視が番組の中核」

 フジテレビに対しては、2007年7月28、29日放送の「FNS27時間テレビ」で、意に反してスピリチュアル・カウンセラー江原啓之さん(43)のアドバイスを受けさせられたと秋田県の女性が抗議。これを受けて、「放送倫理・番組向上機構(BPO)」が「人間の尊厳を傷つけかねない」とする意見書を出していた。

 公式サイトで08年4月2日に公表したのは、その意見書を踏まえて社内で議論した結果の報告書全文。それによると、プロデューサー間でアンケート、勉強会を行い、それを元に番組制作ハンドブックを改定した。改定部分は、出演者の人権に配慮するなどの内容で、スピリチュアル番組を止めるかは明言していない。が、プロデューサーや外部有識者からは、かなり厳しい意見があった。

 例えば、プロデューサーアンケートでは、「非科学的な根拠の薄いテーマを題材にした番組制作に対する一層の注意喚起が不可欠であることを実感した」「構成を立てる段階で、江原さんありきから始まっていたのではないか」との声が出た。

 外部有識者では、フジテレビ顧問の清水英夫弁護士が、「一番の問題点は、スピリチュアル・カウンセリングと称する非科学的、荒唐無稽な霊視を番組の中核に置いたことである」と断言。そして、「問題は、今後の番組作成において、『羹に懲りて膾を吹く』ことなく、それが遵守されることであろう」とクギを刺した。

 これに対し、フジテレビは、報告書の中で、「有識者の方々からいただいたご意見を、今後の番組作りの中で十分に活かし、放送番組の質の向上に努めることをお約束いたします」と宣誓したのだ。これで、もし視聴率に目がくらんで今後スピリチュアル番組に手を出すことがあれば、「約束はウソだった」との批判が噴出しそうだ。

 一方、江原さんは、J-CASTニュース1月25日付記事のように、公式サイトでフジテレビの番組作りを批判していたが、スピリチュアル批判を活かすというフジの「約束」をどうみるのか。

 しかし、江原さんは、J-CASTニュースの取材に対し、「誤認報道もあったようですので、フジテレビ制作番組に関しましては、フジテレビ広報にお問い合わせいただけますよう、お願い申し上げます」とコメントを寄せたのみだった。

■「オーラの泉」視聴率低下でパワーダウン

 同じスピリチュアル番組として、江原さんが出演しているのがテレビ朝日「オーラの泉」。フジテレビの「約束」をどのように受け止めるのか。

 テレビ朝日の広報部は、J-CASTニュースに、「フジテレビの公式サイトや新聞報道は拝見していますが、対応は特にありません。それについて、どうこう言うことはないからです」と答えた。

 日刊ゲンダイは、3月19日付記事で、キー局編成マンの話として、状況次第で7月、遅くとも秋の改編で番組が打ち切られる方向と報じた。その背景には、江原さんへのバッシングとBPOの見解があるという。これに対して、テレビ朝日広報部は、「打ち切りの予定はありません。いつまで続けるかも未定です」としている。

 ただ、「オーラの泉」は、次第にパワーダウンしているようだ。

 ビデオリサーチ社の公式サイトなどによると、08年1月まで15%前後の高視聴率を時々出していた。が、ゲンダイは前出の記事で、3月に入って2週連続で1ケタを記録するようになったと報じた。また、テレビで「オーラの泉」を見ると、江原さんの霊視と言える場面が少なくなった印象を受ける。また、「オーラ」「前世」「守護霊」といった言葉も少なくなっている。

 これに対し、テレビ朝日広報部では、視聴率低下について、「受け止め方によります。低下が一時的かどうかは分かりません。対応も特にありません」と述べた。霊視の場面・言葉減少については、「それも受け止め方の問題だと思います。番組の内容や企画意図は、特に変わっていません」とした。

 とはいえ、「オーラの泉」への風当たりは強まっている。宮城県の東日本放送は、2〜3月の番組審議会で、放送中の同番組を審議した。そこでは、委員から「江原さんのコメントは断定的で、ゲストの過去と交信したような言い方は霊能者としての自分を強調し過ぎている」「子どもたちが目に見えないものの力を信じることにならないか心配だ」と疑問が相次いだ。これには、招かれた「オーラの泉」のプロデューサーが、「子どもたちへの影響を考え、あくまでも娯楽番組であることを番組内で告知している」と防戦一方だった。


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