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2008年04月03日(木) 00時00分

有害・携帯サイト規制案、“過剰選別”を緩和の狙い読売新聞

 総務省が2日公表した携帯電話の「フィルタリング(選別)サービス」を改善するための骨子案は、過剰とも指摘される今の選別方式を緩和し、未成年者の利用を促して有害サイトを遮断する狙いがある。

 ただ、携帯電話会社は多額の投資負担を強いられるうえ、有害サイトの線引きをどうするかなど運用面の課題も残されている。(西原和紀)

 未成年者が有害サイトを通じて犯罪に巻き込まれるケースが多発していることから、携帯各社は今年1〜2月、総務省の要請で選別サービスの原則加入に踏み切った。「アダルト」「出会い系」「コミュニケーション」などに分類されたサイトはすべて「有害」と認定し、閲覧できなくする仕組みだ。

 ただ、インターネット上で会員同士が交流するソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やブログで健全なサイトも機械的に排除されるため、サイトの運営会社や利用者の不満が高まっていた。

 NTTドコモでも、「親から『サービス不加入』の同意をもらってくる未成年者は少なくない」(中村維夫社長)という状況で、厳しい規制が逆効果になりかねない懸念があった。

 今回の骨子案では、原則として特定のサイトを閲覧できなくする一方、保護者や第三者機関が認めたサイトは追加で閲覧を可能にする仕組みが示された。

 このシステムを構築するには、利用者ごとに閲覧可能なサイトの情報をサーバーに蓄積させる必要があり、携帯会社は多額の追加投資が必要になる。このため、対応にバラツキが出る可能性も指摘されている。

 監視体制も課題だ。サイト運営の業界団体は8日、骨子案が示した第三者機関となる「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構」を設立し、〈1〉不適切な書き込みを監視しているか〈2〉ネット上のルールを守るよう利用者に徹底しているか——などの基準でサイトの健全性を審査する。しかし、携帯サイトは無数にあり、実効性を疑問視する声もある。

http://www.yomiuri.co.jp/net/feature/20080403nt0d.htm