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2008年04月03日(木) 10時00分

“激増”硫化水素自殺日刊ゲンダイ

 神戸市北区の会社員男性宅の風呂場で27日、アルバイト店員の二男(27)が自殺した。神戸北署の調べによると、二男は液体のトイレ洗浄剤と害虫駆除剤を混ぜ、硫化水素を発生させたという。助けに入った男性(64)が意識不明の重体、妻(59)と長男(32)も病院に運ばれるなどの惨事になったが、こうした「硫化水素自殺」が増えている。
「埼玉県のホテルで2月中旬、東京や埼玉の大学生ら3人が集団自殺しました。自殺サイトで知り合い、市販の塩素系トイレ洗浄剤と入浴剤を浴槽で混ぜて今回のように硫化水素を発生させたのです。2月末には大阪市内で大学院生(24)が、3月には岡山市で高校2年の男子生徒(17)が同様の手口で自殺。このやり方で昨年1年間で6人、今年は3カ月で9人が自殺しています。市販洗浄剤は手に入りやすい。練炭と違って火を使わないですむ。そんなことから自殺サイトで頻繁に取り上げられ、広まったのです」(捜査事情通)

●巻きぞえ死だけでなく殺人ガスに悪用の恐れも
 自殺願望者が死ぬのは勝手だが、この手口で困るのは、硫化水素という毒ガスは拡散することだ。そのため、助けに入った人も巻き込まれてしまう。使用されたトイレ洗浄剤のメーカー担当者は「自殺の道具で多用されていることは知っている」としつつも「他の液体と混ぜては危険と警告するぐらいしか対応のしようがない」と話す。入浴剤メーカーの担当者も「近く、他の薬剤と混ぜないよう新たな注意喚起の商品ラベルに切り替えるが、我々も困っている」と言う。打つ手なしなのである。
「怖いのはこうした薬剤が殺人に使われる懸念があることです。有害サイトを取り締まるのはもちろん、メーカー側も薬剤の成分を変えたり、販売中止を考えるべき時期だと思う」(消費者問題研究所の垣田達哉代表)
 毒ガスの脅威は身近だ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080403-00000007-gen-ent