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2008年04月02日(水) 08時02分

ガソリン代値下げ泣き笑い 価格バラバラ/財政難の自治体「渡りに船」産経新聞

 ガソリンの暫定税率廃止を受け、1日、“値下げ合戦”が始まった。「待ってました」とばかりに、1円でも安いガソリンスタンドに行列するドライバーたち。値下げを見送るスタンドを横目に、赤字覚悟で値下げに踏み切るスタンドもあり、店頭価格はまだら模様だ。波紋は各方面に広がった。

 ■スタンド

 札幌市の「中和石油」のスタンドでは、1リットル当たり25円下げて122円に。赤字覚悟の値下げだ。同社の営業部長は「値下げしないとお客さんに『なぜ下げないんだ』といわれてしまう。経営は苦しいが…」と厳しい表情。値下げを見送るスタンドは、チラシや看板で理解を求めた。

 需給の逼迫(ひっぱく)が予想され、石油元売りはタンクローリーの確保に必死。最大手の「新日本石油」は、通常より運転手を300人増やし、1400人態勢で安定供給を目指している。

 ■運送会社

 トラックを多く所有する物流業界。軽油価格が1リットル当たり約17円下がり、経費削減につながる。佐川急便では「軽油価格が安くなるのに越したことはないが、買い控えして買えなくなっては本末転倒」と3月中に全国にある自家用スタンドのタンクを満タンにするよう指示、すでに対応済みとの認識だ。

 シーズン最盛期の引っ越し業界。アートコーポレーションでは「影響はさほどない」と分析。「サカイ引越センター」は「契約しているスタンドがあり、一時的に価格が安いからといって他に移ることはない」と冷静に対応している。

 ■バス会社・役所

 燃料の軽油を日々、大量に消費するバス会社も値下げは歓迎。東京・多摩地区が中心の京王バスは「コスト的には助かるが、ここ1、2年、軽油価格は右肩上がりのため、税率が元通りになれば、最終的にはコストが高くなる可能性もある」。過剰な需要で燃料の供給が間に合わない可能性については「長年、取引している石油会社なので、供給は確保している」。

 「原則的に25円引きのスタンドと契約する。大事な税金だから少しでも安い方が望ましい」と財政難が続く神奈川県。1日は3カ月ごとに契約を見直す日だったことから「渡りに船」と有利な条件を獲得した。出先機関を合わせ、600台以上について順次、同様の契約を進める予定だ。

                  ◇

 【値下げしたガソリンスタンドの消費者の声】

 「昨日は給油せずに待った。通勤に車を使っているので、値下げは大きい」=札幌市の男性(45)

 「自家用車でこれまで20リットルずつ入れていた。(税率を下げた分)別のところで負担がかかるなら税率維持を」=山形市の男性会社員(41)

 「安いのはうれしいけど、25円くらい払うから渋滞を解消するための道路をきちんと整備して」=東京都渋谷区の女性会社員(45)

 「暫定的に取っている税を期限が切れたらなくすのは当たり前。使い方にも不透明感があった」=静岡市の広告業男性(55)

 「普段使う店は価格据え置きなので、電話帳で(値下げ店の)住所を調べてきた」=大阪府泉佐野市の運送業の男性(52)


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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080402-00000081-san-soci