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2008年04月02日(水) 07時50分

和歌山でもガソリン値下げ相次ぐ「今売る分は赤字だが…」産経新聞

 新年度が始まった1日、揮発油(ガソリン)税の暫定税率の期限切れを受け、和歌山県内各地のガソリンスタンド(GS)でも値下げ販売に踏み切る店が相次いだ。

 ガソリン価格について、県職員の目視調査で約4割、電話調査では54%のGSが値下げしたことが判明した。職員が通勤時に104店舗を調査し、前日よりも値下げしていたのは41店舗だった。いずれも大きな混乱は確認されなかったという。また、無作為に抽出した78店舗を対象に電話で聞き取り調査した結果、42店舗で値下げを確認。レギュラー1リットルあたりの平均価格は141円で、31日よりも10円下がった。最安値は122円だった。

 中には高い税率で仕入れた在庫を抱えながらも値下げしたGSがあるとみられる。129円に値下げした和歌山市内の店主(51)は「うちと契約をしてくれている宅配業者などには昨夜に電話をして20円下げることを伝えた。在庫がかなりあるので苦しい。今売る分は赤字だが、仕方がない」と話す。

 高速道路や幹線道路に近いGSは競争が激しい。127円まで値下げした同市永穂のセルフ店の経営者(50)は「競合店が多い激戦区なので、価格は控えめに設定していた。売れ行きは好調だが、また値上げしたりすると会員が離れて競合店にすぐに流れる。(首相には)価格の調整に取り組んでほしい」と政府に注文をつけた。

 田辺市では、20円値下げし、125円にした店には周辺道路まで行列ができた。従業員(41)は「昨日までどうするか考えたが、周囲の店が値下げするとの情報が入ったので、うちだけ下げないわけにはいかない。本来は(税金分の)25円下げたいが、仕入れ値の上昇もあり、20円にした」と話した。

 即日の値下げを見送ったGSもある。和歌山市湊の店主(38)は「在庫がまだあるので下げられないが、なくなったら下げる。こっちも大変だ」という。

 一方、消費者側は「ガソリンが安くなって助かる。このままの価格でいってほしい」と歓迎する和歌山市の主婦(41)のような声とともに、混乱を心配する意見もある。岩出市の会社員の男性(36)は「安いに越したことはないが、税率が復活したら、また混乱が起きると思う。営業で外回りが多いので会社も経費に過敏になっている」。また、和歌山市の自営業の男性(55)は「古くから付き合いがある店でガソリンを入れているが、店主も苦しいのがわかる。政局も経済も不安定なのは国民が困る」と話す。

 新たな対応をした自治体もある。新宮市は、これまで市内の11業者と3カ月単位で一定価格の契約を結んでいたが、公用車約180台のガソリン代を現金払いに切り替えた。財政課は「暫定税率の動向を見極めながら再度、契約するかどうか検討したい」と話している。

 先月27日に設置した県の相談窓口には、31日までに計30件の相談があった。このうち軽油引取税や自動車取得税などに関する業者からの相談が24件で、一般消費者からはガソリン・軽油価格に関するものが3件、自動車取得税などが3件だった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080402-00000043-san-l30