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2008年04月02日(水) 12時03分

東和銀:業務改善命令 不適切融資、提訴で責任にけじめ 刑事告訴に慎重姿勢 /群馬毎日新聞

 ◇今後の業務改善焦点
 不適切融資を理由に金融庁から業務改善命令を受けた東和銀行(吉永國光頭取)は1日、経営責任調査委員会(委員長・松岡登弁護士)が巨額赤字で引責辞任した増田熙男(ひろお)前頭取と前役員に損害賠償責任を認めたが、刑事責任については「故意性の立証が困難」として商法の特別背任罪の刑事告訴に慎重姿勢を示した。同行は近く損害賠償請求の民事訴訟を起こし、一定のけじめをつける方針だが、今後の業務改善の行方が焦点となる。
 「名実ともに生まれ変わる」。吉永頭取は1日の記者会見で強調した。ただ、調査委の答申では増田氏と同時期に役員を務めた現経営陣の責任には言及がなかった。トップの「暴走」を防げなかった体制をいかに立て直すかは今後の課題だ。
 調査委は昨年10月、弁護士と公認会計士3人で発足。問題となった前橋市の貸しビル業者に対する8000万円の融資は、行内でも回収の見込みが低いと指摘されたが、業者と親しい増田氏らが押し切ったという。
 このほか、調査委は増田氏が04年以降、取締役会に諮らずに前橋市内に社宅用マンション3室を計1億600万円で購入。その後に2部屋を売り売却損を生じさせたり、金利変動リスクがある国債を大量に購入したことなどを挙げ「経営上の責任は甚大」とした。
 周囲を自分に忠実な役員で固め常務会を形骸(けいがい)化させたことや「頭取銘柄」と呼ばれる親密な関係先への融資が複数あったことも示し「独裁」ぶりを指摘した。
 増田氏は旧大蔵省審議官を経て同行に天下り、94年に頭取に就任。07年3月期連結決算で過去最高額となる274億円の赤字を計上し、同年5月に引責辞任した。
 増田氏は調査委に対し「手続きにのっとって融資した」と釈明。前役員は1日、毎日新聞の取材に「融資は常務会も通って適切に行われた。裁判になれば、こちらの言い分を主張する」と争う姿勢を示した。【伊澤拓也】

4月2日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080402-00000098-mailo-l10