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2008年04月02日(水) 08時02分

【視点】裁判員制度 不安解消へ制度周知必要産経新聞

 最高裁の調査で「義務でも参加したくない」との回答は4割弱に上った。広く国民に刑事裁判に参加してもらうという制度の趣旨達成のための取り組みはまだまだ不十分であることを示している。

 最高裁が、裁判員制度と同様に国民が司法に参加する陪審員制度を採用している米ロサンゼルス郡を調査したところ、約92万通の質問状を陪審員候補者に送っても4割強の候補者からは応答がなかったという。

 最高裁では「米国ではこの状況で陪審員制度が運営されている」として、6割の人の参加の意向に一定の安心感を示している。

 一方、調査で明らかになった裁判員参加の不安要因は「仕事に支障」(36・7%)「育児・介護に支障」(16・6%)などの物理的要因より、「被告の運命が決まるため責任を重く感じる」(75・5%)などの精神的要因が大きかった。最高裁は「義務でも参加したくない」と回答した層の中には、こうした精神的要因が理由の人が、かなりいるとみている。

 調査結果では、裁判員制度への理解が深まるほど、精神的不安が軽減される傾向が出た。例えば、「素人に裁判が行えるのか不安」との回答が全体で64・4%なのに対し、制度のことを熟知していた人は52・4%と、12ポイントも低くなっている。

 制度開始まで約1年。法曹3者や政府には国民の不安を解消するためのさらなる説明が求められる。(半田泰)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080402-00000080-san-soci