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2008年04月01日(火) 23時25分

鑑定士に成績競わす 千葉の宗教法人、組織的詐欺か産経新聞

 宗教法人「幸運乃光」(千葉県)が「高島易断崇鬼占(すうきせん)相談本部」や「高島易断総本部」の名称で、「祈願をしないと災いが起こる」と鑑定士がうそを言って高額な祈願や法具を購入させたとして、経済産業省から一部業務の停止命令を受けた問題で、同法人が仏教的な修行経験のない人を即製で鑑定士に仕立てて、相撲にちなんで「場所」と呼び、“売り上げ成績”を競わせていたことが、経産省の調査で分かった。同省は組織的に詐欺的行為が行われたとの見方を強めている。
 経産省によると、25人いる鑑定士は、全国のホテルで「高島易断の人生相談会」を開催。給料は歩合制で、相談会での収入は、ホテル代などの経費を差し引いた後、「志納金(しのうきん)」としていったん法人に入り、25〜50%が鑑定士の給料としての支払われていた。祈祷(きとう)料などの金額は決まっておらず、受付で相談者の年収など財産状況をあらかじめ聞いたうえで、「相手方が『痛い』(ぎりぎり払える)金額を設定した」(鑑定士)という。相談会は組織内で「場所」と呼ばれ、各鑑定士が月1回で開催し、相談者から現金が取れたものを「勝ち」、クーリングオフされたものを「負け」と評価。場所ごとの“営業成績”は「◯勝◯敗」と、法人幹部に「部署別業務遂行報告書」という文書で報告されていた。幹部から「新人の成績が悪すぎる。気合を入れろ」の指示もあった鑑定士の一方、年1000万円以上を稼ぐ者もいた。
 同法人は「高島易断教師募集」と新聞広告を掲載し、応募してきた会社員らを集め、約3カ月間の速成研修で鑑定士にしていた。研修では「修法(しゅほう)要諦」と題するマニュアル(約30ページ)を丸暗記させ、鑑定で「家系断絶」「事業破綻」「肉体障害」など悪い結果になるようにし、「悪因縁の芽が出て、葉が出て、断ち切るしかない」「余裕がない。今ならぎりぎり助かる」と祈祷などを迫るよう指導していた。鑑定士には「必ず祈願の取れる布教師を目指します。目標は1年後に年収1000万円」「自分のため、組織のために、マイナスよりプラス(黒字)にする」などと文書で誓わせており、経産省は「(鑑定士は)マインドコントロールされていた」とみている。

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