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2008年04月01日(火) 00時00分

⑱キャラと一緒に「リベンジ」読売新聞

母親に見送られ、上京するひだかさん(左)(C)AYA HIDAKA

 12万人が訪れた東京ビッグサイト(江東区)の東京国際アニメフェア(3月27〜30日開催)。宮崎市在住のアニメ作家日高亜矢さん(41)は10畳ほどの小さなブースで、バイヤーへの対応に大忙しだった。

 昨年のフェアのコンテストで、自らの半生を描く短編『東京リベンジ』が優秀賞に。そのおかげで今年は「クリエーターズワールド」のメンバーに選ばれ、専用ブースをあてがわれた。緑のトレーニングウエアという奇抜ないでたち。この姿こそ、彼女の「リベンジ」なのだ。

 新潟からイラストレーターになろうと18歳で上京。しかし専門学校を1年で中退。目標を見失い、ディスコや居酒屋で自堕落な日々を過ごす。「これじゃ、いけない」と思い直して農水省職員に。結婚して宮崎に移り住み、再び描き始めたのは29歳。挫折が忘れられず、「ひだかあや」と名乗る男のキャラクターを作り、物語にした。

 ♪今度は負けね〜、ちっとも怖かね〜よ……まぬけな合成音の歌声が全編に流れ、哀切を誘うが、ほんわか系のキャラクターは暗い感じがしない。「やり直し」という重いテーマの割に、コミカルな仕上がりに。

 サブタイトルは、「かつて東京に敗れた地方在住者に捧(ささ)ぐ」。なんだか、あの宮崎の知事ともダブって見える。でも、日高さんは宮崎のセールスマンではない。今回のフェアでは中国やスイス、韓国のバイヤーからも誘いが。東京などぽんと飛び越え、世界に羽ばたく勢いだ。

 ■クリエーターズワールド■ 若手アニメ作家の育成支援。東京国際アニメフェアで個別のブースを無料で与えられ、新作を発表したりできる。コンテストや一般公募で毎年10人ほどが選ばれる。6回目の今年は8人がブースを出展した。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/feature/tokyo231203958795871_02/news/20080401-OYT8T00156.htm