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2008年04月01日(火) 08時53分

ガソリン値下げ始まる 配送能力1.6倍の注文殺到 石油業界は臨戦態勢フジサンケイ ビジネスアイ

 ガソリン税の暫定税率など道路特定財源を除く租税特別措置の効力を5月末まで延長する「つなぎ法案」が31日の国会で成立した。これにより、4月1日からガソリンは1リットル当たり約25円の暫定税率の負担がなくなり、値下げが始まる。石油元売り各社や全国のガソリンスタンド(GS)は、お客殺到による混乱や品切れなどのパニックに備え、臨戦態勢に入った。

 「近隣の店の価格を見て回り、状況に応じて価格を下げるほかない」

 都内の激戦区の環状7号線沿いにあるGSの店長は、場合によっては1日から値下げに踏み切る考えだ。

 店頭に残っている3月出荷分の在庫には、暫定税率が課せられており、値下げすれば、損失を被る。しかし、近隣の店が赤字覚悟で値下げすれば、先の週末に買い控えた客を値下げ店に奪われ、閑古鳥が鳴く事態になるのは必至。このため、激戦区を中心に赤字覚悟の前倒し値下げが広がるとみられている。

 元売り各社も、品切れという最悪の事態を防ぐため、タンクローリーの配送体制など準備に追われた。

 各社では、1日以降の配送については、これまでの巡回配送から事前に申し込みを受け付ける方式に変更。1日分については、3月28〜29日に締め切ったが、ジャパンエナジーでは配送能力の1・6倍、出光興産でも1・3倍の注文が殺到しているという。

 各社とも運転手を2〜3割増員するなど対応を取っているが、1台で配送できるGSには限界があり、「配送しきれない可能性もある」(出光)と不安をぬぐえないでいる。

 2日の配送についても3月31日に申し込みを締め切り、当面は、事前の申し込み形式を続ける考えだ。

 ただ、値下げ後の需要については、各社とも予想しきれていない。期限切れを控えた先の週末には買い控えで、「販売量が全国的に大幅に減少した」(大手元売り)という。1リットル当たり25円下がると、平均的な自動車のタンク容量の40リットルを満タンにした場合、1000円も安くなるだけに、ほとんど空にしたままで値下げを待っているドライーバーは多い。

 全国の販売量が、「通常の15万キロリットルから200万キロリットルに急増する」(渡文明・石油連盟会長)との予測もあり、供給能力の限界を超え、予期せぬ混乱が全国に広がる懸念もある。

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