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2008年04月01日(火) 19時49分

官房長官、映画「靖国」中止で「国会議員の批判関係ない」産経新聞

 町村信孝官房長官は1日午後の記者会見で、自民党の一部議員が文化庁の所管法人からの助成金支出を問題視していたドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」が上映中止となったことについて「国会議員のそうしたことが上映自粛につながったと考えていない。別の事情があって上映を自粛したと聞いている。いろんな嫌がらせや圧力で、そうした表現の自由にかかわるようなことが左右されることは不適切だ」と述べた。会見の詳細は以下の通り。
【厚労相問責決議案】
 −−民主党が舛添大臣の問責決議案を提出する方針を決めた。厚労省の対応はいろいろ問題があったと思うが、舛添大臣の働きぶりは問責に値すると考えるか
「それは民主党さんがご判断されることであって、私どもは問責に値するとかしないとか、判断する立場にありませんし、しっかりと職責を果たしていただくことが今、最も大切なことだと思います」
 −−問責決議案提出を決めた民主党の国会戦略についてどのように思うか
「まあ、あんまり他党のなさることに今、政府の立場であれこれ言うのは差し控えます」
 −−民主党は理由として、持ち主とみられる人が確認できた年金記録が全体の4分の1にとどまっているのは政府の公約違反だと言っているが、いかがか
「公約違反うんぬんの話はこれまで何度も説明をしてまいりましたので、これ以上多くを語る必要はないと思っております。もとより、5000万件すべてを特定できるといったような誤った印象を与えるようなことがあったこと、これは率直に総理もおわびをしているところでございますが、政府としては昨年の7月5日に決めたことを粛々と進めている。また、新年度に入ってからも予定通り粛々と作業を進めている。できる限り多くの方々に行き先がはっきりするように。そして年金制度に対する信頼を回復できるように努めていくことが求められていると受けとめております」
【道路特定財源】
 −−暫定税率をめぐり、あすから政府案の審議が参院でも始まるが、民主党からは総理が表明された一般財源化を評価する声が上がっているが、審議の展望は
「本来であれば、3月中に十分な審議が行われるべきところを、4月に入ってから審議が始まること自体が昨日の総理の記者会見でも異常な事態であったというふうに触れておられました。まったくその通りだろうと思います。予算審議をやっている間は税法の審議はできないなんて、一度も今までそんなことなかったんです。もし、同時に審議ができないならば、戦後はずっと歳入法案と歳出法案が同時に成立することはあり得なかったわけですね。時間のやり繰りやら、夜審議をする等々やってきたわけですから。そういう意味で、まことに遅きに失したとはいえ、審議が始まることを私どもは歓迎をいたしております。審議の行く末、これにつきましてはまさに国会でどのような審議をなさるか、お決めになることでありますから、それについてまた、政府がコメントすることは適切ではないとは思いますが、いずれにしても、政府としてはもちろん、現在は今、法案として出している内容がベストであると考え、さらにそれを踏まえた上で、21年度からは一般財源化等々の福田総理の発言がある。それを民主党として、どう受けとめておられるのか、大いに充実した審議が行われることを期待しておりますし、逆に詳しく私、聞いておりませんけれども、民主党提案の法案も並行審議をされるのではないかと思います。いや、そうであるかどうかはちょっと私は知りませんけれども、私はその方が自然な審議の仕方ではなかろうかと、こう思います。かつて、大変終盤ではありましたけれども、新テロ特措法の時も並行審議という形をとりました。ぜひ、民主党のみなさん方の提案についてもですね、与党のほうから十二分な質問をして、国民に分かりやすい議論を展開をしていただければ、どちらが優れているのか、私は自明のことだと、かように考えております」
 −−本日から暫定税率が切れてガソリンの値段が下がっているが、民主党としてはガソリン価格の再引き上げを阻止すると言っている。審議が進まなければガソリンの値段が下がったままで、採決を引き延ばすような動きもあるようだが、どのように考えるか
「いたずらな審議の引き延ばしが、いいわけがありません。一定の審議をして、議論が尽きれば採決をする。これは国会の常識であります」
 −−先ほど自民党の伊吹幹事長が来て、総理と官房長官3人で話をしたが、税制関連法案の話が中心とも聞いているが、どのような話をしたか
「まあ、小人数の会合の内訳を今、申し上げるわけにはまいりませんが、昨日までの動きの総括と、今後どうするかということについて話をいたしました」
 −−暫定税率の問題を一刻も早く解決しなければいけないと思うが、局面打開のための小沢党首と総理との党首会談について、現状は
「そういうことはきのう、福田総理も会見で言っておられたと思いますが、何か解決する見通しがあるのならば、成果が上がるある程度の見込みがあるのならば、会うことに意味があると、いつでも会いますということを総理は言っておられます」
【日銀総裁人事】
 −−日銀総裁人事だが、今のところいつごろまでには提示したいか
「まだ決めておりません」
 −−政策決定会合やG7(先進7カ国財務省・中央銀行総裁会議)があるが、それまでには提示して国会の承認を得たいか
「まあ、1日も早く提示できるように、そして国会の同意が得られるようにはしたいと思っております。いつということを今、申し上げられる状況にはございません」
【整備新幹線】
 −−整備新幹線の未着工区間について、昨日の与党PT(プロジェクトチーム)で年度内にも財源をめどをつけたいという当初の方針を先送りした。どういうことが原因で当初の方針通りいかなかったのか。今後の議論の進め方は
「あの、先日もご説明したとおり、財源、なかんずくJRからの貸付料の算定に今、少し作業の時間がかかるということだと聞いております」
【映画「靖国 YASUKUNI」】
 −−今日、報道があったが、靖国神社をテーマにしたドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」をめぐって、4月12日からの上映を決めていた映画館5館が昨日、上映中止を発表した。この映画は文化庁所管の独立行政法人から、750万円の助成を受けていたが、自民党議員の一部から助成の妥当性を疑問視する声が上がり、全国会議員を対象にした異例の試写会が開かれた経緯がある。国会議員の圧力が上映自粛につながったのではないかとの指摘があるが、いかがか
「私も詳しい様子を知っているわけじゃございませんけれども、国会議員のそうした…。しかし、あのー、代表の稲田さんは、言論の自由はしっかり守られるべきであるということも述べておられるわけでありますから、そのことが上映自粛につながったと私は考えておりません。それは別の事情があって映画館側が上映を自粛されたものと、こう思って…。聞いております。まあ、いろんな嫌がらせや圧力でですね、そうした表現の自由にかかわるようなことが左右されることが不適切であることは言うまでもございません」
【衆院山口2区補選】
 −−今月末に山口2区の補選がある。福田政権初の国政選挙になるが、政府与党としてはどういう戦い方をするか。今、最大の問題である暫定税率問題を争点とする考えはあるのか
「どういう戦いをするといわれても、まあ選挙ですから正々堂々と法に従って徹底的に戦うと。必勝の態勢で臨むということだろうと思います。ただ、何といっても立ち遅れでありますし、相手側の候補はすでに現職として何度か当選をしておられる。こちらはつい先日まで官僚でおられたということで地元での知名度はほとんどゼロだろうと思いますから、大変なハンディキャップを負った戦いであろうかと思います。したがって、容易なことでは勝てるわけではないとは思いますけれども、総力戦で戦って、どこまで追いつくことができるか、追い越すことができるのか。これはまだ何とも見通しは立っておりません。ガソリンのことが争点になるかどうか、それは地元のみなさん方がお決めになることで、私どもが決めることではありません」
 −−この選挙結果が暫定税率の問題に影響を与えるという考えはあるか
「毎回の選挙で、大阪の知事選挙、市長選挙、それぞれの選挙が国政にどういう影響を与えますかという質問が必ず出るんでありますが、それぞれの地域に、それぞれの抱えている問題があるわけですから、日本全体が一斉に選挙をやるのならいざ知らず、特定の選挙区の選挙結果が出たから、それで何か、政策の大きな方向が左右されたりなんかするというのは、まことにおかしなことで。だって日本全国の国民がその山口2区の有権者にですよ。あなたがすべての決定権を委ねますと。あなたに委ねますなんてことを誰もコミットしていないわけですから。もとより、そんなことはありえないと私は思っております。ただ、まあ、気分がね。気分の問題としてはね、われわれの国会議員レベルの気分の問題としては、なにがしかの影響はあるのかなとは思いますけれどもね。基本的には国政の政策の方向に大きな影響を与えるものではないと思います」

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