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2008年04月01日(火) 01時48分

ガソリン0時の行列 値下げのスタンド、給油切れ目なく朝日新聞

 ガソリン税の暫定税率が期限切れとなった1日、日付が変わると同時に一部のガソリンスタンドが値下げを始め、客が列をなした。「いつまで続くのか」。先行きの見えない値下げ騒ぎに石油業界関係者は不安をのぞかせる。

暫定税率の期限切れを受けて値下げしたガソリンスタンドの前には、給油を待つ車の列ができた=1日午前0時42分、札幌市北区

 練馬区のガソリンスタンドでは1日午前0時、日付が変わると同時にレギュラーガソリンを146円から130円に、ハイオクガソリンを157円から140円に値下げした。下げてから20分ぐらいの間に約10台が切れ目なく給油に訪れた。

 会社員の男性(46)は「朝になればパニック状態になると思い、午前0時に店に来た。ドライブが好きなので頻繁に出かけたい」と話す。

 札幌市内で25.1円を値下げしたガソリンスタンドでは、午前0時前にすでに20台ほどの車列ができ、0時半ごろには40台を超えた。

 消費者の期待にどう対応するか。長野県のスタンド業者でつくる同県石油商業組合は3月31日の緊急会議でガソリンを1日から1リットルあたり約20円値下げすることを確認した。渡辺一正理事長は「消費者は1日から値下げを望んでいる。1社がすれば他も同調せざるを得ない」。逆に、秋田県の組合は「混乱を避けるため、急な値下げはしない」と申し合わせた。

 こうした業界団体からの価格維持の要請について、公正取引委員会は「独占禁止法に触れるおそれがあり、望ましくない」とする。一方、各店が暫定税率分を負担し、前倒しで安売りすることに「不当廉売」の恐れはないのか。公取委は「ケース・バイ・ケース」と言う。

 北海道内の札幌、小樽などで1200台以上の車両を保有する北海道中央バス(小樽市)は軽油の品薄を懸念し、すべてのバスを3月中に「満タン」にするよう呼びかけた。かかった費用は約350万円。「1日以降に買えば安いのは分かっているが、燃料が供給されるか分からない状況でバスを走らせるわけにはいかない」と備えることに。

 秋田県庁は1日午前7時半〜正午、職員約140人が2人1組で県内277カ所のスタンドを回る。ガソリンや軽油の課税のしくみを消費者に説明し、トラブルを避ける狙いという。

 31日夕に県庁内であった想定問答の打ち合わせでは職員から不安の声が相次いだ。

 「『暫定税率の廃止はいつまで続くのか』と聞かれたらどうするのか」

 説明役の職員は戸惑いながら答えた。

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http://www.asahi.com/national/update/0401/TKY200803310374.html