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2008年03月31日(月) 22時59分

協力者名の開示命令 仙台地裁 宮城県警捜査報償費朝日新聞

 宮城県警の捜査報償費をめぐり、仙台市民オンブズマンが県警本部長の非開示決定の取り消しを求めた訴訟の判決が31日、仙台地裁であった。畑中芳子裁判長は「支出のほとんどが架空」と認め、捜査協力者名など大部分の開示を命じた。協力者名の開示を命じた判決は全国で初めて。

 対象になった99年度の捜査報償費をめぐっては、浅野史郎知事(当時)が開示を求めたのに対し、県警がこれに抵抗。「適正な執行が確認できない」として05年6月には県予算の執行を停止するなど激しく対立。昨年浅野氏は原告側証人として証言していた。

 判決は「在職当時、県警元幹部から『98〜99%架空』と聞いた」とする浅野前知事の法廷での証言を「元幹部が虚偽の事実を現職知事に語るとは考え難い」と重視。捜査員からの聞き取りを拒否するなど県警の不合理な対応や、全国の都道府県警で噴出した裏金疑惑などから「報償費のほとんどは裏金に回すための架空支出」と結論づけた。

 その上で、架空支出とすれば「記録された情報には実態がない」として、「捜査員の氏名は(県情報公開条例で非開示が認められた)犯罪の捜査に関する情報にはあたらない」と判断。県警側が作成する支払い精算書に記載された協力者の住所氏名や警部補以下を含む捜査員の職名や氏名、支払期日や支払額など、協力者個人が作成した領収書を除くすべてについて開示を命じた。

 全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士によると、協力者名や幹部以外の捜査員の氏名の開示を命じた判決はこれまで例がない。

 判決を受け、仙台市民オンブズマンは「浅野証言が決め手となった。画期的な判決だ」と評価。浅野前知事は「県警は不正を認めて早期に県民に謝罪すべきだ」と述べた。一方、県警訟務室は「主張が認められず遺憾。判決を精査して対応したい」とコメントした。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0331/TKY200803310307.html