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2008年03月29日(土) 15時01分

<新銀行東京>追加出資の100億円は投資引き当て分毎日新聞

 経営危機に陥った「新銀行東京」(東京都千代田区)に追加出資される400億円のうち100億円は、中小ベンチャー企業を支援する「ファンド投資」への出資元本が全額棄損した場合に備えた資金であることが分かった。新銀行が、巨額の税金をつぎ込んだ再建計画でも、リスクの高い事業モデルを柱に据える姿勢を示すもので、関係者からは疑問の声が出ている。

 新銀行の再建計画は、単年度に700億円の投融資・保証を実行するとし、このうちファンド投資は100億円を見込む。07年12月末までに10のファンドに総額54億円を出資して約5億円の運用益を上げており、再建計画でも有力な収益源に組み込んだ。

 将来性の高いベンチャー企業向け融資にも100億円を積み上げる計画を立てており、ベンチャー企業には計200億円が投じられる形だ。

 しかし、ファンド投資は担保も保証もなく、自己資本比率の規制に基づき元本の全額手当てが必要となる。新銀行は11年度までの再建期間中、ファンド投資の残高100億円を維持する方針で、追加出資分の4分の1に当たる100億円をそのリスク対応に充てる。ファンド投資に依存しない堅実な事業計画を作っていれば、追加出資額は少なく済んだ可能性がある。

 都は新銀行の将来について「最新の金融ノウハウを持つ銀行などとの連携を視野に入れながら、銀行業務を強化する」と強気の姿勢。しかし、ファンド投資を主力とした事業モデルについて、ある都銀幹部は「貸し出しこそ銀行の基本で、手間を省いて利益を上げようというのは安直な発想だ」と話している。【村上尊一、木村健二】

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