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2008年03月28日(金) 02時11分

年金窓口パンク寸前 6時間待ち、6月末まで予約満杯朝日新聞

 「宙に浮いた年金記録」の持ち主の可能性が高い人に届く「ねんきん特別便」。加入記録欄が空白なものや、他人の記録が記載されたものが約2万通送られていたことが27日、明らかになった。3月に入り特別便の送付数が増えたことで、各地の社会保険事務所に相談に訪れる人が殺到。6時間以上待たされたり、相談できないまま事務所を後にしたりする人がいる。社会保険庁の記録問題への対応のまずさに批判が出ている。

「ねんきん特別便」の対応で混雑する川越社会保険事務所=25日、埼玉県川越市で

 「ただでさえ読み方が難しいのに、加入記録が空白のままの特別便が届いたら大混乱が起きる」。社会保険労務士や行政書士でつくるNPO法人「みんとヘルプ」(北海道北見市)の相談員は憤る。「特別便の読み方がわからない」という相談が増えているが、多くは社保事務所の対応に納得しなかった人たち。相談員は「窓口でもっとじっくり対応するべきだ」と話す。

 ところが、肝心の社保事務所はパンク寸前だ。今月下旬、神奈川県藤沢市の藤沢社保事務所には特別便の相談に約200人が訪れた。1日10人程度だった2月初めと比べて20倍だ。

 81歳の男性は午前9時前に来たが、相談を受けられたのは午後3時半になってから。「社保庁には人を待たせる体質があるのか」と憤る。午後から会社を休んで来たという61歳の男性は、職員から「今日はもういっぱいです」と断られた。相談を受けられたのは来訪者の6割の126人。事務所は相談の予約を始めたが、6月末まで埋まっている。

 社保庁によると、相談は大都市のベッドタウンや交通の便のよい事務所に集中している。相談の受け付け電話も1日4万5千件程度が対応の限界だが、24日以降は連日20万件以上。25日は28万件近くに達した。

 「08年3月末まで」という公約を守るために、政府が3月に入って一気に発送数を増やしたのが背景にある。12〜1月分は計108万人、2月は248万人だったが、3月は673万人。一方、職員は昨年4月から12月までに04年度の2倍以上の450人が自己都合で退職。関東のある社保職員は「残った職員で対応するのはもう限界。組織の危機だ」と頭を抱える。 アサヒ・コムトップへ

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