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2008年03月27日(木) 16時03分

岡山駅・突き落とし殺人:「身勝手…」驚きと怒り 駅利用客、顔こわばらせ /岡山毎日新聞

 「刑務所に入りたい」。そんな身勝手な理由で他人の命を奪う——。25日深夜、JR岡山駅で県道路建設課主任、假谷国明さん(38)=倉敷市笹沖=が今春高校を卒業したばかりの少年(18)=大阪府大東市=に線路内へ突き落とされ、死亡した殺人事件。その不条理さに駅の利用客は大きな衝撃を受け、假谷さんを知る人々は早すぎる死を悼んだ。【山崎明子、佐藤慶、植田憲尚、石川勝義、松井豊】
 消防によると、救急隊の到着時、假谷さんは体の右側を下にして横向きに倒れていた。後頭部から出血があったものの、隊員が呼びかけると「腰が痛い」と答えるなど意識ははっきりしていたという。しかし、約5時間後に搬送先の病院で息を引き取った。
 事件から一夜明けた26日朝、普段通り現場の駅ホームは勤務先や学校へ向かう乗客で混雑したが、利用客は一様に顔をこわばらせた。赤磐市の派遣社員の女性(30)は「夜道は注意しても駅では安心しており、ショック。茨城県でも無差別殺傷事件があったが、身勝手で相手の痛みを考えず、憂さ晴らしのような事件が多い」と憤り、岡山市の大学3年の男子学生(21)は「ひどい事件。背後を警戒している人はほとんどいないと思う」と戸惑いの表情を浮かべた。
 假谷さんは広島大工学部を卒業後、93年に土木部技術職員として採用。阿新地方振興局、県建設技術センターなどを経て、06年4月から道路建設課主任を勤め、今年4月から水島港湾事務所に異動予定だった。在籍した道路建設課では、同日正午前、課員ら22人が約1分間黙とう。假谷さんの冥福を祈った。
 家庭でも、4月から小学校2年生になる長女、幼稚園年長組に進級する次女の父親。近所の住民の話では「子煩悩で、いいお父さんだった」という。次女が通う市立葦高幼稚園の上西恵子園長は「家族皆が明るい家庭と感じていた。事件のことはニュースで知り、驚きと怒りを感じる」と話した。

3月27日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080327-00000158-mailo-l33