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2008年03月26日(水) 11時32分

【法廷から】手鏡でのぞき、51歳被告の“家庭の事情”産経新聞

 51歳になる男が、手鏡で女性のスカートの中をのぞこうとしたとして起訴された。法廷で明らかにされた犯行の背景には、被告の家庭にある“事情”があった−。

 被告は今年1月29日朝、東京都新宿区のディスカウントストアで、女性=当時(23)=のスカートの下に手鏡を差し入れたとして、東京都迷惑防止条例違反の罪に問われた。

 検察側の証拠によると、被告は図書館で手鏡を使ってスカートの中をのぞいている男を見て、まねをしたという。

 弁護人「ディスカウントストアにはなぜ行った?」
 被告「CDウォークマンがほしくて行った」
 弁護人「ディスカウントストアに行ったのはのぞこうと思って?」
 被告「思っていません」

 被告は平成3年に交通事故に遭い、これがきっかけで結婚を前提に交際していた女性と別れた。

 弁護人「交通事故で仕事を続けられなくなった?」
 被告「はい。交通事故があって、リハビリを受けて、しばらく車椅子(いす)で移動していたが、半年で歩けるようにはなった」

 交通事故の後遺症で被告は左足に障害が残り、走ることができなくなったという。

 それにしても、性欲を満たすためには、犯罪行為に走る以外に方法はなかったのだろうか。裁判官も、その点を突いた。

 裁判官「手鏡以外の性欲解消方法はないのか?」
 被告「会社から給料をもらっても、母親に預けているので風俗にも行けない」

 被告は給料をすべて母親に預け、買いたいものがあると、母親に言ってその都度お金をもらっていた。

 裁判官「ディスカウントストアに行ったときも、お金はなかった?」
 被告「はい」
 裁判官「(CDウォークマンを)見てどうするつもりだった?」
 被告「母に頼むつもりだった」

 こういう状況だと、男性誌なども買いにくいようだ。

 裁判官「(母親に言って)本を買えばいいじゃないですか?」
 被告「そうです」
 裁判官「本代もだめなんですか?」
 被告「男親なら言えるが、こういうものを買うからといえる雰囲気がなかった」
 裁判官があきれたように尋ねた。
 裁判官「今年いくつですか?」
 被告「51です」
 裁判官「母親に世話になっているのは分かるが、母親が金をくれないからやるという年齢ではないですよね」
 被告「はい」

 検察側の求刑は懲役10月だった。

 最後に裁判官は被告を諭した。

 裁判官「本当にやめてもらわないと。厳しい刑罰を課せばやめられるというものでもないと思うのでね。本当によく考えてくださいよ」
 被告「はい」

 「51歳にもなって」と被告を笑うのは簡単だ。だが、あきらめたような表情を浮かべ、傍聴席から好奇の視線を一身に浴びる被告を見ていて、別の思いがわいてきた。

 人生に「もし」はないが、もし被告が交通事故にあわず、女性とそのまま交際していたら、どんな人生を歩んでいたのだろうか−。

 明日のことは誰にも分からない。だからこそ、被告には今後、手鏡のぞきなどではなく女性と真摯(しんし)に交流する機会を見つけ、失った幸せを見つけてほしいと思う。

 判決は4月10日に言い渡される。
      (末崎光喜)

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