記事登録
2008年03月26日(水) 16時40分

岡山突き落とし またも無差別殺人 少年、進学断念直後毎日新聞

 25日深夜、JR岡山駅で起きた突き落とし殺人事件。今春、高校を卒業したばかりの容疑者の少年は「だれでもよかった」と供述しているという。茨城県土浦市の8人殺傷事件でも24歳の容疑者は同様の供述をしている。相次ぐ青少年の自暴自棄ともいえる凶行。男性の遺族や職場に怒りと悲しみが広がった。

【事件の概要】 殺人:ホームから落とされ男性死亡、18歳少年逮捕 岡山

 学校関係者によると、少年は大阪北部の府立高校を今春卒業したばかり。おとなしく真面目な性格で、放送部に所属し、高校3年間で欠席はわずか2日しかなく、高校から「精勤賞」をもらっていた。日ごろから問題行動はなく、2月29日に行われた卒業式に出席した際も特に変わったところはなかったという。成績もよく、大学への進学を希望していた。しかし、家庭の経済的な理由で断念し、「自分で仕事を探してお金をためてから、大学に進学したい」と前向きに話していたという。

 また、少年が卒業した大阪府大東市の市立中学校の校長によると、少年は中学1年の時に4〜5人にいじめられたことがあり、保護者同士で解決したという。

 自宅の近所の住民によると、少年は小さいころから切れやすく、けんかをしたりすると、すぐに「殺してやる」などと叫んでいたという。

【山崎明子、植田憲尚、石戸諭、石川勝義、横山三加子】

 ▽教育、少年問題に詳しい尾木直樹法政大教授(臨床教育学)の話 茨城県の事件に続き、青少年の自暴自棄的な、自殺願望型の事件といえるのではないか。背景には深い孤独があるように思う。国際的な調査でも日本の青少年が孤独感を募らせている傾向が明確に出ている。格差を背景に「負けたら終わり」という空気が社会を支配し、家庭も地域も孤独な若者を支えきれなくなった。家庭や地域を支える複数のセーフティーネットが必要だ。

 ▽藤本哲也・中央大教授(犯罪学)の話 少年が刃物を用意していた点から、茨城県の事件に影響された可能性が高いが、「誰でもよいから人を殺したかった」などという容疑者の気持ちを探るのは難しい。従来の犯罪学ではとらえきれない事件が多い。インターネットや携帯電話メールの普及などによる人間関係の希薄化が影響しているのではないか。最も基本的な生活習慣の、家庭や地域などで目と目を合わせたコミュニケーションを復活させるしかない。

【関連記事】 岡山突き落とし:18歳の殺人 深夜帰宅の県職員に悲劇
【関連記事】 鉄道事故:電車と接触、39歳会社員死亡−−JR西船橋駅
【関連記事】 通り魔:手配男が通行人8人刺す 1人死亡 土浦のJR駅
【関連記事】 警戒中だったのに…騒然とする茨城連続殺傷の事件現場

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080326-00000017-maip-soci