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2008年03月26日(水) 16時26分

おとなしい子 なぜ 岡山の突き落とし 精勤賞、今春高校を卒業 産経新聞

 ■父「一生懸命育てたが…」

 まじめな県庁職員は突然、線路に突き落とされた。JR岡山駅のホームで25日夜起きたあまりに理不尽で不可解な殺人事件。「誰でもよかった…」。被疑少年の供述は、3日前に茨城県で起きた無差別殺傷事件をほうふつとさせる。今春卒業したばかりの高校の関係者らが「おとなしい子だった」と口をそろえる18歳は、なぜ凶行に走ったのか。「はらわたが煮えくり返る思いだ」。死亡した職員の遺族は吐き捨てるように語った。

 学校関係者によると、少年は大阪府内の園芸系の府立高校を今月1日に卒業したばかりだった。在学中はトマトに水を与えないことによる影響を研究。遅刻などもなく、非行などの問題をおこしたことはなかったという。

 2年生の時から進学を希望しており、「京都大学医学部を目指す」と話していた。しかし、この高校からこれまで京大に進んだ卒業生はほとんどおらず、担任からは「やめたほうがいい」と言われていたという。

 その後、家庭の経済的な事情で進学を断念。学校関係者に「いったん働いてお金をためてから大学に行きたい」と話していた。「就職に有利になるから」と受けた簿記試験なども失敗し、進路に悩んでいた様子もあったという。現在は無職だったとみられる。

 高校や同級生によると、中学時代から体格がよかったが、おとなしい性格だった。中学では一時、いじめを受けていたこともあったという。高校3年間で欠席は2日しかなく、精勤賞の表彰を受けた。

 服装や髪形なども派手ではなく、高校時代は放送部に所属。放送機器の設置など裏方の準備に汗を流した。先生から「ありがとう」と声をかけられると、「はい」と明るい返事が返ってきたという。

 卒業式前後には、下あごにひげを生やした姿も目撃されていたという少年。卒業時の寄せ書きには「3年間いろんな意味でいろんな事があって楽しかった」と記していた。

 両親が所在をつかめなくなったのは25日からで、同日午後7時ごろ、岡山駅に到着。大阪からは新幹線を使わず在来線を乗り継いでいたとみられる。

 学校関係者は「警察から一報を受けたときは被害者の側なのかと思った。それほどおとなしい生徒だった」と驚いていた。

                   ◇

 少年の父親(56)は、駆け付けた岡山市内で取材に応じ「相手の方にとてつもなく申し訳ない。親として悪いことをした」と声を詰まらせながら謝罪。さらに、「自分は正義感を持っているつもりだったが、それを息子に伝えるのが足りなかった。親として最低やと思う。責任は取らなければ。一生懸命育てたつもりやけど…」と肩を落とした。

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