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2008年03月26日(水) 13時13分

連鎖に危機感 列島襲う“不可解な動機”での凶行 土浦・岡山産経新聞

 「だれでもよかった」。茨城県土浦市の8人殺傷事件後、面識のない人が突然襲われる「通り魔」的な凶行事件が全国で続発している。逮捕された犯人に共通するのは、無差別殺人をほのめかす不可解な動機。専門家は「事件が連鎖反応するのでは」と危機感をあらわにしている。

 8人殺傷事件で逮捕された金川真人容疑者(24)は警察の取り調べに「人を殺したかった」と供述した。事前に凶器を購入するなど計画的な犯行だが、逮捕前には「早く捕まえてごらん」と2度にわたり警察を挑発しており、ゲーム感覚で人を襲った異常な言動も明らかになった。

 事件後、千葉や愛知、福岡県でも通行人らが見知らぬ人に刃物で刺されるなど、通り魔事件が続発した。岡山の事件で逮捕された少年も「人を殺せば刑務所に行ける」と供述、同じように「だれでもよかった」と無差別殺人をうかがわせる動機を話している。

 中央大の藤本哲也教授(犯罪学)は「社会が閉塞(へいそく)状態だと不満を爆発させるような事件が起きる。少年など社会の弱者がストレスに一番反応しやすく、茨城県土浦市の8人殺傷事件に触発された可能性もある」と話す。

 福島章・上智大名誉教授(犯罪心理学)は「若い人はテレビゲームや映画などで人を簡単に殺すシーンに日常的に接しており、殺人への罪の意識が希薄になっている」と指摘。「こうした殺人予備軍ともいえる人は相当数いるとみられ、凶悪事件が起きればせきを切ったように表に出てくる」とし、連鎖的に犯行が続くことを心配する。

 個人的な恨みとは違い、通り魔事件は繰り返される傾向があり、過去にも多くの同種事件が起きている。

 最近では今年1月に東京都品川区の商店街で、私立高校生が通行人を包丁で切りつけ、2人が負傷。平成17年には大阪府東大阪市で、当時4歳の男児が17歳の無職少年にハンマーで殴られ、重傷を負った。

 帝塚山学院大の小田晋教授(精神医学)は「若い人の自我が確立していないことが背景にある。こうした事件は日常生活で多くのストレスを抱える現代社会を反映している」と話している。

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