記事登録
2008年03月26日(水) 20時44分

<秘密漏えい>1等空佐を書類送検 読売新聞記者に情報提供毎日新聞

 読売新聞記者に中国海軍の潜水艦の動向に関する防衛秘密を伝えたとして、防衛省は26日、陸上自衛隊警務隊が防衛省情報本部所属だった航空自衛隊1等空佐(50)=現情報本部総務部付=を自衛隊法違反(秘密漏えい)の疑いで書類送検したと発表した。報道関係者に防衛秘密を漏らしたことを理由に自衛官が送検されたのは初めて。安全保障を巡る報道の自由や国民の知る権利の観点から議論を呼びそうだ。

 調べによると、1佐は共通の知人女性を通じて記者と知り合い、米軍から提供された潜水艦の動向に関する防衛秘密を漏えいした疑い。大筋で容疑を認めているとみられる。

 自衛隊法には情報漏えいの教唆を違法とする規定があるが、陸自警務隊は、読売記者の活動は正当な取材活動の一環で、教唆にはあたらないと判断したとみられる。

 問題となったのは、05年5月31日朝刊の読売新聞の記事。中国海軍の潜水艦が南シナ海で火災を起こし、航行不能になったことを報じた。05年10月に当時の旧防衛庁調査課長が刑事告発し、警務隊が1佐の関係先を家宅捜索するなど捜査していた。

 火災を起こしたのは「明」級と呼ばれる攻撃型潜水艦で、艦の位置や艦番号も記事化されていたことから、警務隊は記者に伝えられた情報が、防衛秘密と規定された「防衛に関し収集した電波情報、画像情報、その他重要な情報」に該当すると判断した模様だ。

 防衛省と報道を巡っては、石破茂防衛相がイージス艦衝突事故後の報道対応などを総括し、国民への説明責任の在り方を再検討する方針を示している。【本多健】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080326-00000140-mai-soci