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2008年03月25日(火) 22時21分

<高専>全国のパソコンつなぎ、「グリッドプロジェクト」始動へ毎日新聞

 国立高等専門学校機構(東京都八王子市)とマイクロソフト(渋谷区)は25日、全国の高等専門学校にあるコンピューターを専用ネットワークでつなぎ、一台のコンピューターのように使う「グリッドコンピューティング環境」の構築を本格的に始めると発表した。3年計画で、全国55の高専にあるほぼすべてのコンピューター約6500台をつなぎ、「スーパーコンピューターに匹敵する」国内最大級のグリッド環境実現を目指す。

 「グリッドコンピューティング」は、企業などにあるパソコンをネットワークで統合し、スーパーコンピューターのように大規模計算をさせる仕組み。夜間や休日などパソコンが本来の業務に使われていない時間帯を使う。既に自動車製造業などでは構造や流体解析に利用されているという。

 同機構は、「高専のパソコンを使った大規模計算が可能になれば、研究のために大学のスーパーコンピューターを借りなくて済む。企業では(パソコンを)並列的に使った計算処理が一般的になりつつあり、校内でグリッド環境を経験できることは高専の生徒の役に立つ」と意義を説明した。また、建築物の構造解析やシミュレーション技術の有用性が高まっている材料工学分野での研究を想定し、大規模計算環境を持たない中小企業との共同研究も視野に入れている。

 グリッドコンピューティングプロジェクトは、岐阜高専の柴田良一准教授が05年、県内教育機関など13団体のパソコン計1300台を統合することに成功。これを受けて同機構は今年度、高専3校でも試行し、今年4月からは全国25校に拡大することを目指している。柴田准教授は「自校内のパソコンだけをつなぐだけでも、これまでより大規模な計算が可能になる。小さなネットワークから各校で始め、広げていきたい」と話す。

 プロジェクトにはマイクロソフトの高性能計算(ハイパフォーマンス・コンピューティング=HPC)用サーバーを利用。生徒たちにグリッド環境を体験させることが主目的のため、(リナックスなどに比べ)手軽に構築できるシステムを選んだ。ライセンス料は6500台分を高専機構側が購入した。

 同機構の小田公彦理事は「パソコンの計算能力はどんどん向上している。生徒たちが社会に出るころには、(スーパーコンピューターを使うような計算が)パソコンのグリッドである程度はできるようになるだろう」と話している。【岡礼子】

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