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2008年03月25日(火) 00時00分

少年の「無罪」取り消し、再び家裁へ 大阪地裁所長襲撃朝日新聞

 大阪市住吉区で04年2月、当時の大阪地裁所長(65)が若者グループに襲われた強盗致傷事件で、中等少年院送致の大阪家裁決定後に大阪高裁で決定を取り消され、差し戻し後の家裁で昨年12月に刑事裁判の「無罪」にあたる不処分となった当時14歳の少年(18)について、大阪高裁(大渕敏和裁判長)は25日、家裁の不処分決定を取り消し、審理を家裁へ再び差し戻す決定をした。「検察側の新証拠を調べなかったのは違法」としている。検察側が「控訴」にあたる抗告をしていた。

 大渕裁判長は、犯行グループの後ろ姿をとらえた現場付近の防犯ビデオ映像をめぐり、検察側が犯人の身長や体格を特定するために実施した再現実験のDVD映像があると指摘。大阪家裁がその証拠申請を退け、防犯ビデオ映像をもとに「少年らを特定できない」として不処分とした審判手続きは不当とした。そのうえで「少なくともDVD映像を調べる責務がある」と判断した。

 事件では、少年ら当時13〜29歳の5人が逮捕・補導された。だが成人2人が06年3月の大阪地裁判決で無罪とされ、当時16歳の元少年(20)も今年2月、家裁で「再審無罪」にあたる保護処分取り消しの決定を受けた。

 少年の付添人の前川直輝弁護士は「少年の無実はこれまでの証拠で明らか。枝葉末節にこだわり、少年を不安定な立場に置き続ける今回の決定は到底納得できない」と話した。最高裁への再抗告を検討するという。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200803250083.html