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2008年03月22日(土) 00時00分

小中高時代の鈴香被告読売新聞

 畠山鈴香被告(35)は、どんな小中高校時代を過ごしたのか。公判での証言や関係者の話などから考えてみたい。

 小学校の卒業文集に、鈴香被告は将来の夢として、「保母さんになりたい」と書いた。さらに、「長所 ひょうきん」とも書いている。「思いでの栄光」という欄には、スポーツ大会での活躍や勉強で頑張ったことをつづる児童が多い中で、「足を折った」と記した小学6年の鈴香被告には、そんな一面があったのかもしれない。

 鈴香被告は、この文集に、青森県の十和田湖などを巡った修学旅行を一番の思い出として書いている。宿泊したホテルで、友人らと担任の見回りを警戒しながら夜遅くまでテレビを見たり、話したりしたことや、誰かが鈴香被告のお土産を見ていた時、すでに寝ていた鈴香被告が「それ、鈴香のだよ」と寝言を言ったことを書いた。

 修学旅行の昼食のとき、「鈴香さんからサンドイッチをもらって食べた」と書いた同級生の記述もある。文集からはほほ笑ましい小学校時代が浮かんでくる。

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 しかし、鈴香被告は公判で、「いじめられた」と訴えた。

 鈴香被告の法廷証言によると、小学校時代のあだ名は「心霊写真」。小学1年の7月ごろ、「水子の霊が付いているよ」と宗教に入信していた担任に言われたことがきっかけだった。被告自身はまだ小さかったため、その意味が分からなかったが、話を聞いた同級生が「霊」という言葉を気持ち悪がり、「心霊写真」と呼び始めた。卒業文集にも「あだな しんれいしゃしん←その他」と書いている。

 4年生になると、「バイ菌」というあだ名も加わった。偏食が激しかったため給食を残すことがあり、4年の時の担任から手に給食のおかずを載せられ、そのまま犬のように食べるよう命じられたという。

 昨年10月29日の第5回公判で鈴香被告は、こう述べた。

 「指の間から汁がこぼれ落ちるので、同級生の一部から『バイ菌』と呼ばれた。トイレの個室に入れられて、鍵をかけられ、『洗ってやる』と。洗剤をドアの上からかけられて、それからホースで水をかけられた。何度もあった」

 しかし、担任から犬のように食べるよう命じられたことについて、捜査幹部は「ウソだ。先生に会ったから分かる」と指摘する。水をかけられたことについても、鈴香被告の母が公判で「水浸しで帰ってきたことはなかった」と証言した。

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 鈴香被告は、第5回公判で、「友だちは1人だけ。(もっと欲しいという気持ちは)もちろんあった。人に物をあげると仲良くなってくれるのかなと思って、万引きして人に分け与えるようになった」「文房具がほとんど。かわいいメモ帳や消しゴム。ばれました。先生や親から責められ悪い評判がついた」と証言した。

 鈴香被告の知人によると、鈴香被告は高校時代、ショッピングセンターで主にマンガ本を万引きし、バドミントン部の仲間と回し読みした。部員の財布の金が無くなると、「鈴香がやったんだ」と言われたという。公判では、バドミントン部の部費を盗み、停学処分となったことが明らかになっている。

 高校の卒業文集の寄せ書きには、鈴香被告に対し、「会ったら殺す」「秋田から永久追放」「いままでいじめられた分強くなったべ。おれたちに感謝しなさい」などとひどい言葉が並ぶ。公判で鈴香被告は「嫌な言葉が書かれているので捨てました。見たくもなかった」と述べた。

 ただ、この卒業文集には、ほかの同級生に対しても中傷する内容が書かれている。ある同級生は「リーダー格の生徒らが鈴香を使い走りにしていたが、いじめではなかった。公判では誇張して話したのではないか」と話している。

 高校卒業時に作られた生徒会報に、鈴香被告はこう書いた。

 「命ある限り忘れてはいけない。今にしか……私にしか……出来ない事がある」

 これは、何を意味しているのだろうか。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/akita/feature/akita1206076020175_02/news/20080322-OYT8T00123.htm