記事登録
2008年03月21日(金) 13時39分

タクシー運転手殺人、車内に脱走米兵のクレジットカード読売新聞

 神奈川県横須賀市の路上に停車中のタクシー車内で、東京都品川区東品川、運転手高橋正昭さん(61)が刺殺されていた事件で、車内から在日米海軍横須賀基地所属の米兵(22)のクレジットカードが見つかっていたことがわかった。

 米軍関係者によると、この米兵は事件前から行方がわからなくなっていた脱走兵。横須賀署の特別捜査本部はこの米兵が何らかの事情を知っている可能性があるとみて行方を追っている。

 調べでは、高橋さんは19日午後9時20分ごろ、タクシーの運転席で、刃渡り約20センチの包丁が首に刺さった状態で発見された。包丁は首の左後方から肺に達するほど深く刺さっており、強い力でひと突きにされたらしい。

 車内で見つかったカードに外国人の名前が記されていたため、県警が米軍側に照会したところ、同基地所属で今年に入って、行方がわからなくなっているイージス艦乗組員の下士官のものであることが判明した。同基地は、現場から約500メートルと近距離にあり、現場周辺には米兵が利用する店などがある。

 発見時、料金メーターは「支払い」の状態。特捜本部では、都内で乗り込んだ客が、料金支払い時に後部座席からいきなり襲いかかったとみて、車の自動料金収受システム(ETC)の記録を調べるなど、最後に乗り込んだ客の特定を進めている。高橋さんの車は、カードでの支払いが可能だった。

 高橋さんは普段、羽田空港や周辺のターミナル駅で客待ちすることが多かったという。

 横須賀市や防衛省には20日、在日米海軍横須賀基地の担当者から、「脱走兵が事件に関与している疑いがある」と連絡があった。市によると、今年8月に同基地に米本土以外では初となる原子力空母「ジョージ・ワシントン」が配備されるのを控え、米兵の犯罪について緊密な情報交換を行うとする協定が同基地と結ばれている。今回も、米国に滞在中のジョン・ニーマイヤ在日米海軍司令部政務補佐官から市の担当部長に連絡があり、同部長らがダニエル・ウィード基地司令官らと面会、脱走兵の身柄確保を要請した。

           ◇

 タクシー車内から米兵の所持品が見つかったことについて、在日米海軍司令部は「情報収集し、事実を確認中。現時点で言えることはない」とした上で、「被害者とご家族に対し、心からお悔やみ申し上げる。このような残忍な事件は決して許されない。米海軍としては日本側の捜査に全面的に協力する」としている。

           ◇

 石破防衛相は21日午前の閣議後の記者会見で、事件について、「米側から、米兵が関与しているかもしれないという連絡は受けている」と述べた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080321-OYT1T00332.htm?from=navr