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2008年03月20日(木) 03時05分

三浦元社長、次回「移送」審理は2か月後…長期化の様相読売新聞

 【サイパン=山下昌一】ロス疑惑「一美さん銃撃事件」を巡り、米自治領北マリアナのサイパン島で逮捕された元輸入雑貨会社社長、三浦和義容疑者(60)(日本で無罪確定)のロサンゼルスへの移送を判断する審理が長期化の様相を見せている。

 ロスでは弁護側が逮捕状の破棄を求める訴えを起こし、北マリアナ上級裁判所も19日、次回の審問を2か月以上先に設定した。1人の日本人の拘束の是非を米本土とサイパンで争う異例の展開に、当初、「移送まで6週間程度」としていたロス捜査当局の目算は崩れつつある。

 「裁判所がたっぷりと準備期間を確保してくれた」

 19日午後、三浦元社長のロスへの移送の可否を審査するため、北マリアナ上級裁判所で開かれた第1回審問。弁護側が移送を拒否したことを受け、同裁判所が次回審問の日程を5月28日と決定すると、元社長の弁護人、ブルース・バーライン氏は満足げに語った。

 北マリアナ司法省によると、容疑者を米本土に移送するケースは年2〜3件。大半は移送に同意し、数日で手続きが完了しているが、三浦元社長の場合は2月22日の逮捕後、本来必要のない罪状認否の法廷を開こうとする裁判所の不手際があったほか、3人の弁護士が、同じ犯罪で2度罪に問われない「一事不再理」の論争を仕掛けるなど異例の事態になっている。

 今回、同裁判所で移送審理を担当するのは島で唯一の女性判事、ラモーナ・マングローニャ裁判官。

 同裁判官は今月5日、弁護側の即時釈放の申し立てを棄却した際、「いかなる州や自治領も、逃亡犯の聖域となってはならない」と厳しい姿勢を見せ、ロスで発付された逮捕状の有効性についても「当裁判所では議論できない」と述べていた。

 しかし、19日の審問では一転して「異例の手続きなので合理的な審理期間を確保する必要がある」と語り、検察側も「弁護側の主張に沿って反論するだけだ」と言葉少なに法廷を後にするしかなかった。

 ロスでは、マーク・ゲラゴス弁護士が、逮捕状の破棄を求める訴えを起こしており、米国の刑事手続きに詳しい弁護士は「弁護側がカリフォルニア州でも活発に動いているため、サイパンの裁判官も慎重になったのではないか」と推測する。

 同裁判所で移送の決定が出た場合、弁護側は北マリアナ最高裁に上訴し、連邦地裁にも身柄拘束を解くよう求める人身保護請求を申し立てる方針で、移送に関する結論がいつ出るのか、不透明な情勢。裁判所も拘置が長期化するのを見越して、三浦元社長と「親しい友人」や家族については接見を許可し、18日には妻も面会した。当の三浦元社長は差し入れられた日本の本などを読み、比較的元気に過ごしているという。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080225-1331217/news/20080319-OYT1T00930.htm